●アンジェス(株):2023/03/16 13:03
エメンド社を子会社化したのは2020年12月ですが、2021年11月から12月にかけて5回に分けてエメンド社のゲノム編集技術による研究開発の取り組みが紹介されています。その中で、研究が最も進んでいる研究としてELANE関連重症先天性好中球減少症の治療法の取り組みが紹介されていましたが、マウスによる前臨床の取り組みの他に、ワシントン大学のデビッド・デール博士との共同研究で、実際の患者から採取した造血幹細胞を用いた研究内も紹介されていました。
こうした研究開発の取り組みを経て、エメンド社ではELANE関連重症先天性好中球減少症を対象疾患として臨床入りの準備を進めています。エメンド社の社長兼CEOであるデビッド・バラム博士が、2023年1月5日に発表している企業プレゼンテーションの中では、アメリカ食品医薬品局(FDA)に申請する治験届けについては、2022年11月にはプレINDミーティングが行われており、臨床試験入りの申請については、2023年第3四半期の時期に行う予定であると記述されています。
そして企業プレゼンテーションの中の結びでは、ELANE関連重症先天性好中球減少症の臨床入りを機会に、エメンド社が現状の研究機関から脱却する出口戦略として、自前で資金調達が可能となり、企業のステータスの向上にもつながる米ナスダックへの上場が検討されているのです。山田社長も、昨年10月に東洋経済の記者からインタビューを受けていますが、その中で「エメンドはアメリカで上場させるつもりですか?」との質問に
「そのつもりだ。IPO(新規株式公開)をしないとエメンドの研究開発の資金がまかなえない。エメンドの発展はアンジェスの発展に等しい。エメンドをIPOさせるのが最優先というのが私の考えだ。ただ、エメンド株の過半は保有し続けるつもりだ。」と答えています。
アンジェスが歩んで来た20余年の歴史は、自前の収益で行ってきたものではなく、主要には新株予約権の募集と行使によって賄ってきたものですが、その企業がアンジェスの人員の3倍以上あるエメンド社を支え切れるものでないことは、当の山田社長が最も重く認識していると思います。であれば、エメンド社自身が望んでいる米ナスダック入りをアンジェスが親会社として、適切ななアドバイスを含めて全面的に支援していくことだと思います。