●アンジェス(株):2023/05/23 09:14
イスラエルのワイツマン科学研究所の科学者たちと共同で、2015年暮れの時期に
エメンド社が設立されているので、7年5ヶ月が経過しています。そして、アンジェスがエメンド社を子会社化したのは2020年12月なので2年5ヶ月が経ちましたが、いまエメンド社では最も研究が進んでいるELANE関連重症先天性好中球減少症についての臨床入りに向けた準備が進められています。
エメンド社の社長兼CEOであるデビッド・バラム博士が、今年1月5日に発表している企業プレゼンテーションの中では、アメリカ食品医薬品局(FDA)に申請する治験届けの提出については、2022年11月にはプレINDミーティングを実施していて、2023年第3四半期の時期に行う予定であると記述されています。
では実際の臨床入りは、いつの時期かということですが、2023年3月31に発表されたアンジェスの「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」によると、「エメンド社の新たなゲノム編集ツールを作出するOMNIプラットホーム技術を活用し、ELANE関連重症先天性好中球減少症を対象に2023年内に臨床試験入りを目指します」と報告されていますので、申請以降、アメリカ食品医薬品局(FDA)との協議を経て、2023年内に臨床入りの承認が出る方向で取り組んでいくことが明らかにされています。
エメンド社が臨床入りを目指しているELANE関連重症先天性好中球減少症は、顆粒球系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症で、発症すると細菌感染などが起きやすくなり、中耳炎や気道感染症、蜂窩織炎(ほうかしきえん)、皮膚感染症を繰り返し、敗血症などにより死亡することもある疾患です。 |
ELANE関連重症先天性好中球減少症は、父方から受け継いだ染色体と母方から受け継いだ染色体がペアとなっていて、対立遺伝子の一方のみの変異により発症する遺伝性疾患で、その治療は、ほとんど同じ配列を持つ対立遺伝子のうち、変異のある遺伝子のみを破壊するという非常に精度の高いゲノム編集が必要になります。
エメンド社のゲノム編集技術による治療法の確立に期待したいと思います。