●アンジェス記事ストック:2023/01/27 22:46
「K」さんへの返信(その1)
「K」さんから、返信があったことに気がつかず返信が遅れました。
アンジェスが大阪大学やタカラバイオと共に新型コロナワクチン開発に着手することを発表したのは2020年3月5日です。そこで、「クララ」さんの質問に答えるために、まず臨床試験の実施状況を簡単にスケッチしておきます。
アンジェスが開発した新型コロナワクチンは、武漢型ウイルスの遺伝情報を基に作成されたものです。その初期ワクチンは、私の記憶では国立感染症研究所から武漢型ウイルスの遺伝情報を提供して戴いて開発したものと思います。アンジェスの新型コロナワクチンはプラスミドDNAワクチンで、これまで遺伝子医薬の開発経験があり、ワクチンの原液は比較的短時間で出来たようです。
それを臨床試験用に量産し、初めは動物を対象に前臨床の治験を行ない、その治験結果を規制当局に提出し、人への臨床試験が許可され、2020年6月に大阪市立大学医学部附属病院で第1/2相臨床試験が実施され、続いて2020年9月に大阪大学医学部附属病院で同じく第1/2相臨床試験が開始されています。500名規模の第2/3相臨床試験は関西圏及び関東圏の8施設の協力を得て2020年12月から取り組まれました。
これらの治験結果についてはWHOが推奨する海外の分析機関に分析を依頼していて当初は2021年初夏の頃には報告できる予定とされていたのですが、それが報告されることもなく、2021年7月に有効性としての免疫原性をより高めるためのとして、高用量製剤による治験が必要であると予告が出て、2021年8月から、目標症例数400例の臨床試験が関西及び関東の6施設で実施されたのです。
しかし、その結果はワクチンの有効性を高めるアクトランザ・ラボを活用した皮内接種も取り入れて実施したのですが、2022年9月に海外の分析機関の速報データーに基づき、初期のワクチンよりも免疫原性は増強したものの、筋肉内接種群と皮内接種群いずれにおいても、主要評価項目の評価で抗体価が期待する水準には至りませんでした、として開発の中止が決定されたのです。