●アンジェス(株):2021/08/24 19:04
6月3日~4日に日本医療研究開発機構(AMED)が開催したシンポジュームの中の分科会の一つに「ワクチン開発について」という報告会があったこともあり、森下先生がアンジェスの開発責任者の立場から「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を標的としたDNAワクチンの臨床開発」と題して報告を第1/2相臨床試験のうち、大阪大学医学部附属病院で実施した臨床試験について報告をしています。
それによると、AG0302の中和抗体陽転率は、2mg・4週間隔・2回投与で60%、2mg・2週間隔・3回投与では70%と報告されています。接種量と抗体陽転率は一定の影響があることは事実で、そのためにワクチンの適量を測ることも治験の目的の一つになっています。
ところが、アンジェスの500名規模で行われた第2/3相臨床試験では、大阪大学医学部附属病院で実施された2mg・2週間隔・3回投与では70%の抗体陽転率示した治験は取り入れられず、2mg・4週間隔・2回投与で60%のケースを採用しています。確かに治験対象者にとって2週間隔での3回接種は負担感もありますが、それではなぜ3㎎の2回投与の治験を500規模の治験の一部に取り入れる選択をしなかったのだろうか。
これについては広報ブログで「なぜ、高投与量から試験を始めなかったのでしょうか?」との問いに、山田社長は「ワクチンは健常者に接種するものですので、安全性が大変重要。そのために、初めは少ない投与量から進めました」と答えています。けれども、大阪市立大学医学部付属病院に続いて実施された大阪大学医学部付属病院で実施された2mg・2週間隔・3回投与では70%の抗体陽転率示した治験が、何故に500名規模の第2/3相臨床試験の一部に取り入れられなかったのかには釈然としない思いがあります。仮に、3回接種が治験参加者への負担になるとすれば3mg・2回投与も可能だったはずです。安全性重視は理解しつつも、同時に有効性を高める取り組みも必要なのです。
確かに第2/3相臨床試験開始当時は変異株については認識してたものの、感染力の強いデルタ株までは想定していなかったとは思います。デルタ株はmRNAワクチンでも有効性を低下させる性格があるので、今回実施する高用量の治験で、先行している海外ワクチンと比較しても遜色のない有効性が確認できるよう期待したいと思います。