●アンジェス(株):2022/12/22 11:58
短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できるCRISPRキャスナインと呼ばれる革新的な技術が登場したのは2012年です。CRISPRキャスナインの開発者であるエマニュエル・シャルパンティエ教授とジェニファー・ダウドナ教授の二名の女性科学者がノーベル化学賞を受賞したのは2020年です。
これを機に、製薬業界においてもゲノム編集技術を用いた開発が活発化しています。ただ、これらの技術は狙った遺伝子とは異なる箇所を切断してしまう「オフターゲット効果」があり、安全性という面で課題となっていました。そのためCRISPRキャスナインと呼ばれる革新的な技術が2012年に登場しつつも、これまで人を対象とする治療法の確立や創薬に繋げる技術開発が出来ていなかったのです。
エメンド社が調べたゲノム編集会社8社の内、3社が前臨床段階の臨床試験に取り組んでいますが、残る5社は臨床段階にあるのでFDAとプロトコルについて協議中のところもあるし、あるいは人を対象とした臨床試験に入っているところもあると思います。臨床段階にある5社が取り組んでいるゲノム編集技術がCRISPRキャスナインを基本としつつも、各社なりにオフターゲット効果の低減を研究して取り組んでいるので成功する事例があると思います。
エメンド社の研究陣も、CRISPRが最も複雑な遺伝病を治す可能性があることはわかっていましたが、元のCRISPR-Cas9システムの限界により、人への治療法を完全に安全なものにすることはできませんでした。そこで、CRISPRスクリプトを反転させて、まず各遺伝病を理解し、次に最適な編集戦略を考案しました。
エメンド社が独自開発したOMNIプラットフォーム技術では、標的のDNA配列を高精度に切り取る独自のOMNIヌクレアーゼを数多く作出し、これらの中から適切なヌクレアーゼを選択して、それを標的配列に対して最適化することで、「オフターゲット効果」のない安全性の高いゲノム編集が可能となったのです。
その意味で言うと、エメンド社のOMNIプラットフォーム技術は、従来のCRISPRツールを進化させ、あらゆる遺伝病に適合するように作られた次世代型CRISPRのゲノム編集技術と言えると思います。