●アンジェス(株):2022/09/29 09:08
ゲノム編集とは、DNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、ターゲット配列のみを思い通りに切断する遺伝子を改変する技術を指します。山田社長は8月に行われた第2四半期決算報告説明会のビデオ報告の中で「遺伝子治療用製品は既に上市されていますが、遺伝子治療の次のステージはゲノム編集技術にあります」と語っています。ゲノム編集技術は以前からありましたが、2012年に「CRISPRキャスナイン」と呼ばれる革新的な技術が登場したことで製薬業界においてもゲノム編集技術を用いた研究開発が活発化してきました。
確かにCRISPRキャスナインの技術では、これまでよりも短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できるるのですが、狙った遺伝子と異なる箇所を切断してしまう「オフターゲット効果」が解決されていないことが隘路となっていて、ゲノム編集技術を用いた遺伝子治療薬に関しては世界で上市実績がないのです。人への治療に適応させる場合には、安全で精度の高いゲノム編集の確立が待ち望まれていたのです。
これに対して、エメンド社が独自に開発したゲノム編集技術では、新たな特徴を持ったオムニヌクレアーゼを数多く作り出し、その中から疾患に最適なヌクレアーゼを選別し最適化することで、「オフターゲット効果」のない安全性の高いゲノム編集を可能とする技術を確立したのです。医薬品の開発を進める場合に、安全性と効率性のゲノム編集技術が求められますが、その点においてエメンド社のOMNIプラットフォームは優位性があるとの評価が高まりつつあるのです。
エメンド社のゲノム編集技術のもう1つの特徴として、アレル特異的遺伝子編集が可能である点が挙げられます。ヒトは父型と母型の2つのアレル(対立遺伝子)を一対として持っておりますが、アレル特異的遺伝子編集とは、対をなす対立遺伝子の一方を傷つけることなく、異常のある遺伝子のみをターゲットにして編集することを言います。このゲノム編集技術を確立したことにより、数多くの遺伝子疾患をはじめて治療することが可能となり、治療の適用範囲が広がります。
エメンド社は、さまざまな遺伝子性疾患へのゲノム編集技術の応用を研究してきましたが、希少遺伝子疾患以外でもガンや神経系、眼科、皮膚科、免疫疾患などあらゆる疾患に対する新たな治療法の確立に取り組むものと思います。