●アンジェス(株):2021/11/04 04:44
アンジェスがエメンド社を買収し、完全子会社化したのが昨年の12月15日なので、早くも10カ月余が経ちました。山田社長はエメンド社の完全子会社化に当たって次のように述べています。
「私たちは、“遺伝子医薬のグローバルリーダー”を目指すことを掲げています。どうやってグローバルリーダーになるのか? 私たちは、HGFで世界初となったプラスミド製法のみならず、ウィルスベクター、ゲノム編集の領域において世界のトップになりたいと思っております」と。つまり、遺伝子医薬の開発に必要とされる3つの遺伝子治療法を制覇し、遺伝子医薬のグローバルリーダーの位置に立つ上では、エメンド社の買収が必要であったと。
確かにエメンド社の先進的なゲノム編集技術は、今後アンジェスが遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す以上は必要不可欠なものと言えます。エメンド社のゲノム編集技術は、特定の遺伝子(DNA配列)をDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)によって特異的に切断、編集、改変する技術のことで、ゲノム編集により特定の遺伝子の機能を失わせたり、疾患の原因となっている遺伝子の異常を修正することが可能となるものです。なかでも、CRISPR/Cas9は従来技術よりも短時間で簡単に標的となるDNA配列を切断できる革命的な技術として評価されています。
そうした理由もあって、エメンド社がアンジェスの完全子会社になる前後には、掲示板上でエメンド社の早期上場の期待感が高まったことは事実です。しかし、ゲノム編集技術やたんぱく質工学の優れた技術を持っているとしても、それだけでは株式上場にとってインパクトに欠けるのは事実で、エメンド社が進めている開発パイプラインを創薬事業の成功として世に出すことが必要なのです。
アンジェスも社内に専任チームを作り、エメンド社の経営陣とゲノム編集技術を生かした適応症の選定など、具体的なプロジェクト化に向けた協議を進めるとしています。山田社長も「エメンド社のプログラムを早く成就させることが喫緊の課題であり、ゲノムの領域で、世界のトップ集団を維持できるビジネスプランを充実させて参ります。 これからビジネスプランをしっかりと確定した上で、然るべき時に皆さまへ展望をお知らせしたいと思っております」と語っています。
研究の積み上げが実を結び、世に役立つ製品化を成し遂げた時、企業価値は大きく増大するのです。