●アンジェス(株):2023/05/31 10:23
アンジェスが、究極の遺伝子治療法と言われるゲノム編集技術を用いた遺伝子疾患治療に挑むため、ゲノム編集における先進技術を持っているエメンド社を子会社化したのは2020年10月のことです。
アンジェスがエメンド社を子会社化したのかと言えば、自らの企業理念として「遺伝子医薬のグルーバルリーダーを目指して」と定めて、遺伝子医薬の開発に取り組んできましたが、いくつかある開発パイプラインの中で、条件及び期限付き承認を取得できたのはHGF遺伝子治療用製品コラテジェンのみなのです。
このコラテジェンの開発を振り返ってみると、アンジェスがHGF(肝細胞増殖因子)の血管を新生する作用を応用した医薬品開発を目指して、創業を始めたのが1999年12月なので、実に23年以上の歳月を要しているのです。確かに、それだけの年月をかけ、前例のない様々な挑戦と苦労を経て、世界初の血管を新生する遺伝子治療用製品コラテジェンの開発に取り組んできたことには評価を惜しむものではありません。
けれども、世界では、新たな医薬品、治療方法等が次々に開発され、世界的な開発競争が激しくなっているのも事実です。山田社長も従前より、現在の遺伝子治療には3つの治療方法があると述べて来ました。一つは遺伝子組み換え操作のベクターとしてプラスミドを用いる方法、二つ目はウイルスが細胞に感染する機構を利用した遺伝子導入法のウイルスベクター手法、三つ目が遺伝子治療の究極の治療法ともいわれているゲノム編集です。
ですので、アンジェスがプラスミドを用いる方法でコラテジェンの開発に成功したとしても、その領域の開発に留まる限り「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指して」という企業理念は実現しないのです。
アンジェスは2019年3月に、エメンド社の非上場株8%相当分を取得する形で初期投資を開始し、同年12月には5000万米ドル(54億5000万円)の追加投資を行い持分法適応関連会社化を実現し、翌2020年12月にはエメンド社の非上場株の取得先に対して、買収における対価を主にアンジェスの株式の発行によって行う形で、企業理念として掲げて来た「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す」ためにエメンド社を子会社化したのです。