●アンジェス(株):2023/01/07 10:41
アンジェスは、自らが掲げてきた「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指して」という企業理念を実現するにはゲノム編集技術が今後のカギを握っているとして、2018年当時からエメンド社の調査を進めて来たのですが、アメリカの大手ベンチャーキャピタルであるOrbiMed社と武田製品工業の子会社である武田ベンチャーズが、エメンド社の創立時から支援を含めて深く関わっていることから、今から関わっても難しさがあるのではないかと思っていた時期があります。
ところが、2019年になって「エメンド社の経営陣が決して今の状況に満足している訳ではない」ということが分かったので、これはひとつの攻め時だと判断して、2019年の3月に最初の出資をしたと山田社長が語っています。「エメンド社の経営陣が今の状況に満足している訳ではない」という内容には、エメンド社も設立4周年を迎えようとしている中で、研究委託費に依存する研究機関から脱皮して、念願であった米国ナスダックへの上場を果たし、資金調達力の多様化と向上を図る方向を志向していた背景があったと思います。
この時期、臨床段階にあるゲノム編集会社だけではなく、前臨床段階にあるゲノム編集会社も複数が上場を果たしている状況があります。エメンド社としても我々もという思いと、アンジェスもエメンド社のゲノム編集を、今後の創薬に繋げたいとの思いが合致して、2019年11月にはエメンド社を持分法適応関連会社化することを決議し、そして2020年12月にはエメンド社の買収が完了しているのです。
エメンド社は、「オフターゲット効果」がないOMNIプラットフォーム技術を確立したことから、ELANE関連重症先天性好中球減少症の臨床試験を2023年に実施する方向でアメリカ食品医薬品局(FDA)と協議しているとのことです。また並行して、ライセンス供与について協議が行われているとのことです。
エメンド社へ初期投資から買収までの経過を見ると、山田社長の決意には「アンジェスの発展はエメンド社と共にある」との思いが強く感じられます。ですので、エメンド社の上場を利用した一時的な利益確保ではなく、相互の利益を図りながら、遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指しているのではと思います。