●アンジェス(株):2024/02/11 08:33
2月9日、アンジェスは2023年12月期決算短信を発表していますが、その第1項目の経営成績等の状況報告、及びその項の(3)の研究開発の概況でエメンド社の事業再編成と今後の運営方針が記述されています。
この内容は昨年暮れに、イスラエルのテクノロジーニュースサイト「CTech」や、日刊ビジネス新聞TheMarkerから、「買収から3年後、日本の製薬会社アンジェスはレホボトの遺伝子編集会社エメンド・バイオを閉鎖する」との報道があったことに、アンジェスが1月10日に「エメンド社のイスラエルにある研究開発拠点が閉鎖されたとの報道がありましたが、閉鎖を決定した事実はありません」と発表し、続く1月29日、「連結子会社における事業再編成に関するお知らせ」を発表していることに続くものです。
その中で、アンジェスが「事業再編成を行う背景・理由」として、 エメンド社は独自のOMNIヌクレアーゼの開発にあたり、その探索と最適化を労働集約的に行ってきたが、これまで蓄積された大量のデータをベースに、人工知能を活用し、知識集約的な研究開発体制に移行する研究開発戦略の検討を行うとしています。
また、ガザ地区における紛争の影響で、イスラエルにあるエメンド社研究所での研究開発活動が難しくなりつつあるという地政学的リスクを考慮した結果、エメンド社の研究開発機能を再編成し、その機能を米国に段階的に移管し、米国の拠点化を促進していくとしています。その結果、イスラエルのエメンド社研究所の施設は継続して使用するものの、研究開発人員を現状から半数以下に削減する検討を始るとしています。なお、エメンド社の研究開発部門の再編成に伴い、事業構造改革費用として5億3百万円を計上していることが報告されています。
今後のエメンド社の運営方針については、ELANE関連重症先天性好中球減少症を対象とするゲノム編集治療について、早期の米国での臨床試験開始に向けた準備を継続し、また家族性高コレステロール血症を対象とするゲノム編集治療についても臨床試験の準備を進め、他のパイプラインの研究開発を加速するとともに、エメンド社のゲノム編集技術の導出等を進める目的で、米国における体制の強化を図っていくとのことです。