●アンジェス(株):2023/04/05 11:03
HGF遺伝子治療用製品コラテジェンが、慢性動脈閉塞症による潰瘍の改善に効能効果があるとして「条件及び期限付きの承認」を得たのが、2019年3月です。コラテジェンの薬価は、2019年8月28に開催された中央社会保険医療協議会において1バイアル(一瓶)あたり60万360円で薬価基準収載が了承されたことを受け、9月4日に薬価収載が決定しています。
コラテジェンの収益見通しについては、薬価を決めた8月28日の中央社会保険医療協議会の資料によると、ピーク時に予想される年間の投与患者数は992人、売上高は12億円となっています。では、2023年春に予定されている本承認の申請が受理をされ、コラテジェンが慢性動脈閉塞症による潰瘍の改善に効能効果があるとして、国内で本承認された場合に、その販売によって黒字化の見通しが立つのかと言えば、慢性動脈閉塞症における安静時疼痛の適応追加に向けた開発が中止となったこともあり、黒字化の達成は率直に言って困難であることは事実です。
であればコラテジェンの開発は、収益の観点から見たときに意味があるのかという疑問ですが、販売については国内だけではなく、米国やイスラエル、そしてトルコでの取り組みが進んでいきます。アンジェスが2023年3月に発表した「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」の資料によると、米国のFoster Rosenblatt調査資料では、コラテジェンの治療対象者である米国での重症虚血肢は100万人、閉塞性動脈硬化症は780万人となっているので、コラテジェンの治療効果が確認され、米国で承認を得られれば収益も大きく伸びていくと思います。
山田社長も昨年10月、東洋経済の記者からインタビューを受けていますが、アンジェスの黒字化策を聞かれたときに、「コラテジェンが国内で本承認が取れても、今の赤字を埋める収益を上げるのは難しい」と語っています。けれども「アンジェスの生命線はアメリカのコラテジェンだ。アメリカで承認を取れば大型の医薬品になる可能性は十分ある。アンジェスとしてはここにこれから注力をしていく。ここがこれからの勝負になる」と語っています。
ですので、コラテジェンの海外での販売にとっても、国内で本承認を得ることは大きな意味があるのです。