●アンジェス(株):2023/01/26 09:12
米国で実施されてきた慢性椎間板性腰痛症の治療薬である核酸医薬品NF-kBデコイオリゴDNAの後期第1相臨床試験のトップラインデータが発表したのが2021年4月です。この臨床試験は32歳から70歳の慢性椎間板性腰痛症患者の男女25症例を対象に実施されたものですが、治験結果は、高い安全性が確認され、有効性についても投与早期に腰痛が大幅に軽減し、腰痛の抑制は投与12ヵ月後まで継続しことが確認されています。
この核酸医薬品NF-kBデコイオリゴDNAは、NF-κB転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出を抑制する合成NF-κBオリゴヌクレオチドデコイであり、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する様々な疾患の治療に有効な薬剤として期待されています。現在、アメリカ食品医薬品局(FDA)が慢性椎間板性腰痛症に対する薬物療法として承認しているのは、消炎鎮痛剤による対症療法のみです。
米国における治験責任医師である、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部長で整形外科のスティーブン・ガーフィン教授は次のように述べています。「この治療薬は、素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヵ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる将来性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します」と。
アンジェスの山田社長も治験結果の発表にあたって、「慢性椎間板性腰痛症の治療薬の投与で患者の高い満足度が得られ、更に椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは、椎間板の変性を抑制する可能性を秘めています。我々は、今回の結果を確認するために臨床試験をさらに進め、FDAおよび世界の他の規制当局からの販売承認取得を検討する予定です」と語っています。
トップラインデータの発表から、既に1年8ヶ月が経過しています。慢性椎間板腰痛症で社会生活を妨げられている患者さんは中高年層に多く、米国での患者数は577万人程度と言われています。こうした方々のためにも次の臨床試験の実施に取り組んで戴きたいと思います。