●アンジェス(株):2022/11/30 08:45
アンジェスが慢性椎間板性腰痛症の治療薬 NF-kB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)デコイオリゴDNAの後期第1相臨床試験について、2021年4月にトップラインデータを発表してから、1年7ヶ月が経過しています。
このNF-kBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う「転写因子NF-κB」に対する特異的な阻害剤となるものです。主にNF-κBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、研究開発を進めて来たものです。
この試験の治験責任医師である、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部長であるスティーブン・ガーフィン教授は治験結果について「NF-kBデコイオリゴDNA は、素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヵ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる将来性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します」と語っています。
アンジェスの山田社長もトップラインデータ発表当時、「今回の結果を確認するために臨床試験をさらに進め、アメリカ食品医薬品局(FDA)から販売承認取得を検討する予定」と語っていました。確かに、第2相臨床試験の開始前にライセンス契約が決まることは、今後の治験費用などを考慮した場合、望ましいことですが、後期第1相臨床試験は25症例と少ないことから、ライセンス契約は急がずに第2相臨床試験を実施し、更なる治験データを蓄積したうえで、契約交渉に臨む選択肢もあると思います。
9月26日に発表した、第42回新株予約権の募集に関するお知らせの中で、開発パイプラインの現状についての報告がありましたが、 NF-κB デコイオリゴ DNAについては「第Ⅱ相臨床試験に移行する準備を進めております」との報告があるので、年明けの早い時期の実施をにらんで取り組みを進めて貰いたいと思います。
椎間板性腰痛症は特に中高年層を中心に患者数は多く、米国での患者数は577万人(出典:https://hpi.georgetown.edu/backpain)と言われていますが、出来るだけ早く次のステップの臨床試験に進むことを期待したいと思います。