●アンジェス(株):2023/01/20 08:56
アンジェスが慢性椎間板性腰痛症の治療薬である、核酸医薬品のNF-kB デコイオリゴDNAの後期第1相臨床試験のトップラインデータを発表したのが2021年4月です。この臨床試験は32歳から70歳の慢性椎間板性腰痛症患者の男女25症例を対象とし、2018年2月より米国で実施されたもので、前に発表された6ヵ月の経過観察結果に続き、この期間を含む12ヵ月の経過観察結果が報告されたものです。
治験結果は、12ヵ月間の観察期間を通して重篤な有害事象は認められず、高い安全性が確認され、有効性についても投与早期に腰痛が大幅に軽減し、腰痛の抑制は投与12ヵ月後まで継続しことが確認され、また患者の人からも高い満足度が得られたことが報告されています。
この試験の治験責任医師である、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部長で整形外科のスティーブン・ガーフィン教授は次のように述べています。「この治療薬は、素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヵ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる将来性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します」と。
アンジェスの山田社長も「当社が開発した慢性椎間板性腰痛症治療薬は腰痛の改善、患者の高い満足度が得られ、その効果は長期に持続することが確認されました。さらに、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは、椎間板の変性を抑制する可能性を秘めています。我々は、今回の結果を確認するために臨床試験をさらに進め、アメリカ食品医薬品局(FDA)および世界の他の規制当局からの販売承認取得を検討する予定です」と語っています。
ですが、トップラインデータの発表から1年9ヶ月が経過しています。確かに、第2相臨床試験の開始前にライセンス契約が決まることは好ましいことですが、後期第1相臨床試験の症例数は25例と少ないこともあるので、第2相臨床試験を実施し更なるデータを蓄積したうえで契約交渉に臨む選択肢もあり、何よりも慢性椎間板治療薬の実用化を待っている方々のために、2023年春までには第2相臨床試験の実施を含む開発方針を明らかにしてほしいと思います。