●アンジェス(株):2022/12/19 09:29
アンジェスが、イスラエルに研究拠点を持ち、米国に本社があるエメンド社に初めて投資を開始したのは2019年3月です。そしてエメンド社を持分法適応関連会社とするため追加投資に続いて、2020年11月にはエメンド社の買収を取締役会で決議し、翌月12月には買収が完了しています。
持分法適用関連会社化を決議した当時のエメンド社の人員は、イスラエルの研究メンバーが40数名、そしてニューヨークの本社勤務が数名の、併せて50名程度の人員でした。現在は氏名が確認できる人が105名おり、そのうち博士号を持つ研究メンバーが80名近くおります。この人員の拡大は、これまでのゲノム編集が研究段階であったものが、「オフターゲット効果」がないOMNIプラットフォーム技術の活用し、これまで抜本的な治療法がない疾患などについて治療法を確立し、創薬にも繋げていく道筋が見えたことから、人員を拡充してきたのだと思います。
もともと、アンジェスがエメンド社に投資を始めた理由には、「エメンド社の経営陣が決して今の状況に満足している訳ではない」という情報を入手したことから、
エメンド社を創立段階から支援してきたオービメッド社や武田ベンチャーズの先行組がいても、チャンスはあると判断し投資を行ってきた経過があります。
つまりエメンド社自身も、設立5周年目を迎えようとしている中で、企業運営の在り方として、研究委託費に依存する形から脱皮して、米国ナスダックへの上場を果たし、資金調達力の向上を図る方向を志向していることを読んで、それなら創薬の取り組みの歴史があるアンジェスがそれを支援し、同時にエメンド社のゲノム編集技術を活用し創薬に取り組めば、アンジェスにとっても企業価値の向上に繋がり、これまで掲げてきた「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指して」という企業理念の実現が一歩前進すると判断したのだと思います。
そうすると、エメンドが数社とマイルストーンを締結し、自前の収入で研究活動を進め、新規株式公開(IPO)を果たすことが、エメンド社にとっても宿願を果たすことになり、アンジェスにとっても、いつまでも新株発行による増資での支援とはならないので、双方にとってプラスになります。2023年がその時期と思います。