●アンジェス(株):2022/11/16 09:03
アンジェスがエメンド社に5000万米ドルの追加投資をし、持分法適用関連会社化を取締役会で決議したのは2019年11月です。それをステップにして、アンジェスは2020年12月にエメンド社を買収し子会社化しています。
これを可能にできた要因としては三つあります。一つは、アンジェスが掲げてきた「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指して」という企業の戦略目標を実現するには、遺伝子治療の領域と言われている、プラスミドDNAによる創薬、ウイルスベクターによる創薬、そしてゲノム編集による創薬と治療法の確立という、三つの領域での制覇が必要不可欠であることを山田社長が心に刻んで経営にあたってきたことがあります。
二つ目は、エメンド社がオムニプラットホーム技術の確立によって創薬や治療法の確立につながる展望が見えるようになったことから、いつまでも研究機関レベルに留まることを良しとしないというエメンド社の意向があったと思います。アンジェスはその意向を汲んで、研究開発の実用化と併せて、米ナスダックにへの上場を支援するという双方の意思が合致したことが、アンジェスの買収が可能となった理由だと思います。
三つ目についてですが、アンジェスはゲノム編集技術を持っているエメンド社に関心がありながらも、山田社長は「OrbiMed社という大手ベンチャーキャピタルと武田薬品が関わっているという点から、実は2018年の段階では私共が関わるのは難しいと感じていました。ところが、2019年になって、エメンドの経営陣が決して今の状況に満足している訳ではないということが分かり、これはひとつの攻め時だと判断して、同年3月に最初の出資をしました。」と語っています。
山田社長の判断の背景には、OrbiMed社は資金力はあるが、投資会社と言う性格もあり、遺伝子治療の分野で創薬を含めてエメンド社を子会社化し運営するには難しさがあること、そして武田ベンチャーズはバックに武田工業製薬があり最適に思えるが、親会社としては必要な創薬に関して、エメンド社に研究委託すれば済むことなので、買収し子会社化するまでの踏み込んだ判断はしないのではとい分析があったと思います。
こうした三つの要素が、うまく重なり合ってアンジェスがエメンド社を買収することが出来たと思います。今後の課題は、エメンド社の研究を、一日も早く実用化に役立てることだと思います。