●アンジェス(株):2021/12/16 19:51
アンジェスがエメンド社の買収を完了したのが、昨年の12月15日。
振り返ると、この1年間にエメンドについて多くの議論がありました。
その議論の特徴の一つは、エメンド社は最先端のゲノム編集技術を有する
会社なので、米ナスダックに上場すれば相当額の時価総額になるとして
2021年の早い時期に上場が予測されるとする意見です。
それに対してアンチの立場からは、アンジェスがエメンド社に係る前から
エメンドを支援してきた資金力のあるOrbiMed社や、武田ベンチャーズが
買収しないのは、エメンドの価値はそれほどのものでなと判断したので
アンジェスによるエメンド社の買収を容認したとする論調です。
前者のエメンド早期上場論は、それが実現出来ればアンジェスの株式価値が
短期的に上昇につながるのではないかと言った思惑があったと思います。
では、後者の「あまり価値のないエメンドに、食指を持っている
アンジェスに買収させた」との意見の真偽を検証してみたいと思います。
まず、OrbiMed社や武田ベンチャーズがエメンド社の立ち上げ時から
資金支援してきたのに、なぜ後から参入してきたアンジェスに
エメンドの買収を譲ることになったのだろうか。
理由は、OrbiMed社は資金力も豊富な世界有数の投資会社として
エメンドの企業発展を側面支援しつつも、買収以降の創薬を展望した
企業運営のノウハーを持ち合わせていないのです。
その点、武田ベンチャーズはバックに武田薬品工業がいるので
申し分のない買収と言えるのですが、その資金調達には親会社の決済が
必要で時間を要することから、どうせならアンジェスに
買収してもらった方が良いのではないかと判断したのではと思います。
つまり、価値のないエメンドをアンジェスに行わさせたとするのは
経過的にみれば、やや無理のある見方かと思います。
山田社長は「エメンド社の買収によって、いまだ有効な治療方法が
確立されていない疾病に対する医薬品・医療への要望に応えるために、
エメンド社が持つ技術であるOMNIヌクレアーゼを用いた遺伝子治療用製品の
実用化を加速させていきたい」と述べていたと思います。
その実行を期待したいと思います。