●アンジェス(株):2022/11/14 00:14
HGF遺伝子治療用製品については2019年3月に、慢性動脈閉塞症を対象疾患として、条件、及び期限付きで承認されたものです。では、なぜ条件付となったのかと言うと、治験データーとしては症例数が少ないことがあります。そのため、本承認を得るには目標症例数120症例の製造販売後承認条件評価を行い、非投与群(プラセボ=標準療法は可)80例と比較評価を行い、有効性が確認されれば正式承認という流れになっています。
なお、期限は本承認を受ける2024年までの5年間となっていますが、当初の予定より製造販売後承認条件評価の取り組みが完了しているので、早ければ2024年の春には本承認の申請が可能になると思います。
なお、閉塞性下肢動脈硬化症については重症度と症状に応じて下記のようにフォンテイン分類が行われています。
Ⅰ度(軽度虚血)......冷感やしびれ感があるが、一過性で消失することもある。
Ⅱ度(中等度虚血)...歩いた時に足の筋肉に痛みを感じ、歩きにくくなる。
Ⅲ度(高度虚血)......安静時にも足に痛みを感じる。
Ⅳ度(重度虚血)........壊疽や潰瘍が見られる。
治療については重症度に応じ、適宜組み合わせて行われます。
▪ 抗血小板剤などの薬物療法:Ⅰ~Ⅳ度
▪ 外科的な血行再建(自家静脈や人工血管によるバイパス術):Ⅲ~Ⅳ度
▪ バルーンやステントを用いた血管拡張術:Ⅲ~Ⅳ度
重症虚血肢(Ⅲ・Ⅳ度)ではバイパス術や血管拡張術が行われ、閉塞部位を回避することができるため症状の緩和効果も期待できます。しかし、完全に閉塞してしまっている場合や広範囲に及んでいる場合、全身状態が不良な場合では上記が適さないこともしばしばあります。その場合、有効な治療選択が無く、足の切断を余儀なくされていました。コラテジェンは重症虚血肢に対して有望な治療薬と言われています。
コラテジェンは、アンジェスが手がけてきた主力のプロジェクトですが、2022年12月期 第3四半期決算短信でも報告されているように、重症下肢虚血の潰瘍の改善については、本承認に向けた申請の準備を進めています。
また米国における慢性動脈閉塞症の下肢潰瘍患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験も計画に沿って進捗しており、承認申請に向けて開発を継続していくことが、確認されているので、今後の取り組みに期待したいと思います。