●アンジェス(株):2022/08/22 09:04
遺伝子治療の分野では必要な遺伝情報をプラスミドに組み込む方法や、必要な遺伝情報を弱毒化したウイルスに入れる手法を用いた遺伝子治療製品は、既に上市されていますが、本格的な遺伝子医療の次のステージはゲノム編集技術にあります。
8月に開催された第2四半期決算説明会で、山田社長はエメンド社の開発状況について時間を割いて報告していましたが、その中でゲノム編集技術の歴史を振り返り、当時、革命的なベノム編集につながると言われたCRISPRキャスナインの開発者であるエマニュエル・シャルパンティエ教授とジェニファー・ダウドナ教授が、2020年にノーベル化学賞を受賞したことを報告しています。
しかし、山田社長から報告があったように、そのCRISPRキャスナインを含むこれまでの技術では、狙った遺伝子を切ってしまうオフターゲット効果が問題となっていために、人へのゲノム編集技術による遺伝子治療ではオフターゲット効果を解決しなければならないと言う課題があったのです。
このオフターゲット効果の問題を解決するためにエメンド社では、塩基配列を切断するDNA切断酵素のヌクレアーゼをより精度高く、誘導された特定の場所を切り取る改良を行い、エメンド社独自のヌクレアーゼを確立したのです。これをエメンド社では「オムニヌクレアーゼ」と命名しています。
エメンド社では、新たな特徴を持つオムニヌクレアーゼを数多く作出しています。様々な遺伝子疾患について、数多くのオムニヌクレアーゼの中から適切なヌクレアーゼを選択し、更に標的配列に対して最適化します。このように疾患に最適なヌクレアーゼを選別し、最適化する技術をオムニプラットホームと言います。
エメンド社では、この独自のオムニプラットホームを活用し、片方の遺伝子だけに異常がある顕性遺伝子疾患としてELANE関連重症先天性好中球減少症を対象疾患とする遺伝子治療の開発を目指しております。
また、エメンド社では独自のオムニプラットホームを活用することで、アレル特異的遺伝子編集が可能となり、高性能な技術を確立することで、今後、さまざまな遺伝子性疾患へ、より安全な対応が可能となり、希少遺伝子疾患以外のガンや神経系、眼科、皮膚科、免疫疾患などへの新たな治療法への応用が期待されます。
重症先天性好中球減少症へのゲノム編集技術を駆使した治療法の確立はその第一弾です。