●アンジェス(株):2022/07/04 17:29
新型コロナ予防DNAワクチン開発に着手することを発表したのが、2020年3月5日ですが、このDNAワクチンの開発を持ってコロナワクチン開発のすべての目標が達成されるのかと言えば、そうではないことがその後の、チームアンジェスへの共同参画した企業の役割を見てもわかります。
つまり開発当初から、オリンピック開催をにらんで、時間との闘いになることを認識した上で、第一世代としては新型コロナ予防DNAワクチンの筋肉投、そして第二世代ワクチンとして、ダイセル社のアクトランザ・ラボを活用した皮内投与、そしてDNAワクチンの有効性を高めるためのDNAペプチド併用ワクチンを変異株にも対応できる普遍性のあるユニバーサルワクチンの開発を目指すというワクチン開発戦略を持っていたのです。
では、なぜ3月に共同開発に参画したダイセル社、4月に参画したファンペップ社が共同参画しているのに、次世代ワクチン開発にすぐに着手しないのかという理由ですが、ダイセル社の皮内投与の取り組みによってワクチンの有効性が高まることは既に動物実験では実証されていたが、だからといってすぐにアンジェスが企業治験を開始すればということにはならないのです。そのためのステップとして、大阪大学では、新型コロナDNAワクチンによる皮内投与を、朝野感染制御部長を責任者として医師主導の治験を行なっていて、その結果を見た上で、アンジェスの企業治験として高用量製剤による第1/2相臨床試験の中で皮内投与の治験に取り組むことが出来たのです。
同じようにファンペップ社も2020年4月にペプチド技術を生かした第3世代のユニバーサルワクチンの開発を目指す位置づけで、チームアンジェスの新型コロナワクチン開発に共同参画していますが、ファンペップ社のコロナワクチンの開発段階は、現在、動物を対象としてペプチドワクチンの開発をしていて、次の段階でヒトへの臨床試験に進む段取りになっています。
そうした取り組みを経て第一世代の筋肉投与から、第二世代の皮内投与、そして新型コロナDNA併用ペプチドワクチンとして、変異株にも対応できるユニバーサルワクチンの開発を展望して取り組まっれているのです。
大事な視点は、DNAワクチンかペプチドワクチンかではなく、DNAワクチンを更に有効ならしめるための研究開発が行われているということなのです。