●アンジェス(株):2022/02/01 07:42
ゲノム編集とは、特定の遺伝子をDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)によって特異的に切断、編集、改変する技術ですが、CRISPR/Cas9は従来技術よりも短時間で簡単に標的となるDNA配列を切断できる革命的な技術として評価され、その開発者が2020年のノーベル化学賞を受賞しています。
こうしたゲノム編集技術は長足の進歩を遂げており、より標的配列特異的で、変異導入効率の良いものが開発されているが、現段階では限界および問題点が存在します。まずゲノム編集では、任意のゲノム DNA 部位を特異的に変異させることができるが、目的としないゲノム DNA 部位に変異が入る(オフターゲット変異)可能性が残されています。オフターゲット変異により、新たな遺伝子異常が導入される可能性があることは、ゲノム編集技術使用上で最も配慮すべき点でなのです。
エメンド社では、これまで一般に用いられてきた既存のCas9ヌクレアーゼとは異なる新規のRNA誘導型ヌクレアーゼ(ガイドRNAがゲノム上の標的配列にCas9ヌクレアーゼを誘導する)を探索し、これらをゲノム編集に応用する独自の技術プラットフォームを確立し、それを「OMNITM」と命名しています。Emendoが開発するOMNITMヌクレアーゼの長所は、ターゲット遺伝子ごとにヌクレアーゼが最適化されるため、高い効率と精度を持ってゲノム編集ができる点にあります。
人間での遺伝子疾患治療薬の開発では、人体への悪影響を避けるためゲノム編集を高精度に行う必要があり、それが開発のボトルネックにもなっていましたが、「OMNITM」はそのブレイクスルーとなる技術として注目されています。
エメンド社では2021年内に複数の学会で「OMNITM」技術による開発の成果を発表すると言われてきましたが、今後注目度が上がると思います。
アンジェスは昨年10月の会社説明会で、エメンドの今後については「エメンド社のビジネスプランについては検討を進め、そのプログラムを早く成就させることが喫緊の課題である」と語ってきましたが、エメンド社の経営陣と「OMNITM」の技術を活かした適応症の選定などの協議を進め、出来るだけ早い機会に開発プロジェクトがスタートすることが出来るように取り組みを進めて貰いたいと思います。
世界には、治療の進歩や創薬を待っている多くの人がいるのです。