●アンジェス記事ストック:2022/08/20 20:19
◆ゲノム編集:エメンド社の開発状況(その2)
エメンド社では、多くの細菌などから、新たな特徴を持ったオムニヌクレアーゼを
数多く作出しております。さまざまな遺伝子疾患について、その疾患遺伝子の分子機構の理解に基づき、疾患に応じて、ゲノム編集戦略を構築し、数多くのオムニヌクレアーゼの中から適切なヌクレアーゼを選択し、それを更に標的配列に対して最適化します。このように疾患に最適なヌクレアーゼを選別し、最適化する技術をオムニプラットホームと呼んでいます。
エメンド社ではオムニプラットホームの更なる性能向上、効率化を目指し、開発を進めることでオフターゲット効果を回避し、これまでゲノム編集では対処できなかった疾患を含め、さまざまな疾患に対する安全で有効な治療の開発を進めています。このオムニプラットホームの技術により、変異のある遺伝子のみを破壊できるようになります。これにより、アレル(対立遺伝子)特異的遺伝子編集を可能とします。
ここで、私たちは遺伝子について少し説明します。私たちは皆、基本的に同じ塩基配列の父方と母方の対をなす対立遺伝子を持っていますが、遺伝子疾患には、父方と母方両方の遺伝子に異常がある場合と、父方か母方のどちらかの遺伝子だけに異常がある場合があります。このように対になった遺伝子のうち、どちらかの遺伝子だけに異常がある場合、変異のある遺伝子のみを破壊するアレル特異的遺伝子編集が必要となります。
エメンド社のゲノム編集技術は、オムニプラットホームによって、基本的に同じ塩基配列の父方と母方の対をなす対立遺伝子のわずかな違いを確実に認識し、一方を傷つけることことなく異常のある遺伝子のみをターゲットに編集できるようになりました。このような遺伝子編集技術により、片方の遺伝子だけに異常がある、数多くの顕性遺伝子疾患をはじめて治療することが可能となり、ゲノム編集による治療の適用範囲が広がりました。