●アンジェス(株):2023/09/14 09:13
2012年に、これまでよりも短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できる技術であるCRISPRキャスナインが登場しました。このCRISPRキャスナインの開発者であるエマニュエル・シャルパンティエ教授とジェニファー・ダウドナ教授の2名の女性科学者が2020年にノーベル化学賞を受賞しており、ゲノム編集の人への適応が待ち望まれて来ました。
しかし、CRISPRキャスナインを含むこれまでの技術では、狙った遺伝子と違うところを切断してしまうオフターゲット効果が問題となっていました。そのため、オフターゲット効果を低減できる技術の開発が求められてきたのです。
エメンド社では、オフターゲット効果を回避するために、新たな特徴をもった新規ヌクレアーゼ(OMNI ヌクレアーゼ)を数多く作出し、特許を出願しております。
そして様々な遺伝子疾患について、その疾患と遺伝子変異の分子機構の理解に基づき、疾患に応じてゲノム編集戦略を構築し、OMNIヌクレアーゼの中から適切なヌクレアーゼを選択し、それをさらに標的配列に対して最適化して、これまでゲノム編集では対象とできなかった疾患を含め、様々な疾患に対する安全で有効な治療の開発を進めております。
なかでも、好中球エラスターゼ遺伝子の異常によるELANE関連重症先天性好中球減少症では、対立遺伝子配列の一方のみの変異により発症するため、その治療は、ほとんど同じ配列をもつ対立遺伝子のうち、変異のある遺伝子のみを破壊するという非常に精度の高いゲノム編集が必要となります。
このようにアレル特異的遺伝子編集が可能となる技術を確立することで今後、様々な遺伝性疾患への安全な対応が可能となり、希少疾患以外にも、ガンや、神経系、
眼科、皮膚科、免疫疾患などへの新たな治療法の確立が期待されます。
なお、エメンド社では、ELANE関連重症先天性好中球減少症を対象とするゲノム編集治療について、2023年度中に米国での臨床試験開始に向け、FDAと協議を続けています。また、家族性高コレステロール血症を対象とするゲノム編集治療についても2025年の臨床入りを目指しています。