●アンジェス(株):2021/05/27 04:07
<危機管理下における国産ワクチン実用化の実現に向けて>(その3)
◆ 臨床開発の推進について
▪ 国内では発症予防効果を検証する大規模( 数万人)な第Ⅲ 相臨床試験の実施が困難な中、日本主導の国際共同治験が迅速に実施可能となるよう、海外拠点への機材の整備におい ては ODA も活用し、また、アジア開発銀行等の国際開発金融機関も活用する等、より効果的・効率的な支援を検討すべきである。
▪ 政府の取組が実務的にも着実に機能するよう、産業界と知的探求心を持ったアカデミアと人材交流や緊密な意思疎通を進めることなどを通じ、産官学の連携・協働を促進するべきである。国産ワクチンの候補については、公平かつ透明な手続きにより厳格な科学的評価を加えた上で、公的支援するワクチン候補を選定するべきである。
▪ 臨床試験のデザインや評価方法については、先行する海外ワクチンの接種が進むに伴ってプラセボ対照試験の実施が困難となりつつある中、今後のデザイン・評価の考え方について、感染症のまん延状況、ワクチン接種の状況、科学の進展等を踏まえ、国際的な議論の場においてダイナミックに調和・調整を図るべきである。特に、ICMRA や WHO などの国際的なフォーラムにおいて現在検討が進められている、パンデミックに対応する機動的かつ大胆な科学的根拠のあり方の議論を先導的に調和・調整するべきである。
▪ ワクチンは国際公共財であり、市場展開を含む出口戦略を見据え、用意周到に準備されてきたアジア地域での国際共同治験を実践し成功に導くことは、アジア健康構想と科学技術立国を謳う我が国としても大事業である。一つのワクチン候補の国際共同治験だけでも 500 億から 1000 憶円程度がかかると考えられる。早期に事業計画を立てるとともに、ワクチンの特性を踏まえ、厳格な評価によってワクチン候補を見出し、開発を推進していくべきである。
◆ 今後の政府全体の取り組み・体制
本戦略の対応を効果的に進めるためには、政府全体の取組として関係省庁が一体となって活動を推進するため、担当閣僚を配置し、省庁横断的な調整・体制整備を図っていくべきである。この点、健康・医療戦略推進本部の下、医薬品開発協議会で現在議論されており、それを踏まえて、実務的観点から、産官学の密接な協働により、対応を進めるべきである。