●アンジェス(株):2021/04/28 04:44
大阪大学の森下先生がファイザーワクチンを接種したことを批判的に揶揄するコメントが散見されました。内容的にはアンジェスの新型コロナDNAワクチンの開発を進めている当事者が、自らが開発しているワクチンではなく、他社、それも海外のファイザーワクチンを接種したのかという批判です。
しかし、冷静に考えれば、現段階ではアンジェスのワクチンは承認に至っていない中で、優先接種の努力義務がある医師の立場で、かつワクチン開発に当たっている大阪大学の研究グループの責任者としての仕事や、また新型コロナ感染症に対する社会的理解を得てもらうための啓発活動の一環としての講演やテレビ出演も、自らの任務として精力的に取り組んでいる人が、自前の開発したワクチン接種にこだわり続けることが、果たして良いのかは議論のあるところです。
いま、世界で開発されている新型コロナワクチンを種類別に大きく分けると4種類のワクチンがあります。ウイルス自体を弱毒化または不活化したウイルスワクチン、次にウイルスベクターワクチン、タンパク質組み換えワクチン、そして、mRNAワクチンやDNAワクチンの核酸ワクチンと呼ばれるものです。
森下先生の持論は新型コロナワクチンには、それぞれメリット・デメリットがあるのでワクチン接種を受ける前にワクチンの知識を持つことが必要とあると説いています。また、当然のことですが新型コロナウイルス感染症を収束させるためには、人口の70%以上の接種率が必要と説いています。
ワクチンの接種については努力義務となっていますが、最終的に接種するか否かは各自の判断となります。その中で、森下先生は優先接種の対象となっている医療関係者の一人として、自らに課している社会的任務、とりあえず近々の課題となっている新型コロナワクチンの完成と、第2世代や、変異株に対応するワクチンを完成させねばならないという自覚の上に、ファイザーワクチンの接種を受けたのです。
むしろ、開発しているワクチンが認可を得られていない現状にもかかわらず、
自前のワクチンにこだわり、新型コロナウイルスに感染し、研究・開発に支障が出るような事態になれば、狭量な判断しかできなかった人としての批判は、逆に免れないと思います。
森下先生のファイザーワクチンの接種は批判されるべきものではなく、自らに課した役割を自覚した責任ある行為なのです。