●アンジェス(株):2024/04/02 08:38
カナダのバソミューン社とアンジェスは、急性呼吸窮迫症候群の治療薬としてTie2受容体アゴニスト(AV-001)の共同開発について、2018年7月に契約を締結し開発に取り組んできましたが、新型コロナウイルス感染症が拡大し肺炎患者が増大したことから、中等度から重度の感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると判断し、2022年1月より米国で前期第Ⅱ相臨床試験として取り組んできた経過があります。
が、2021年12月頃から、コロナウイルスがオミクロン変異株に代わったこともあり、コロナ感染症による肺炎患者が急減したことから患者確保が難しくなり、バソミューン社では臨床試験の対象疾患を「インフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群に広げる」申請を米国FDAに行い、2022年12月に承認を受け、現在もその取り組みを行っています。
患者登録が遅れている原因の一つとして、急性呼吸窮迫症候群で入院される患者さんの多くは、「救急搬送される患者が多数を占めるため、登録に時間が掛かった」ことが事業計画及び成長可能性に関する事項の中で報告されています。
この点について山田社長は、2023年12月期決算説明のビデオ動画の中で次のように語っているので紹介します。
「対象疾患の多くが急性呼吸窮迫症候群のため救急搬送されてくるので、当初は症例の登録が思うように進みませんでしたが、当社のこれまでの臨床試験に関する知見をもとに、医療機関との連携を強化し、臨床試験の体制を整備することで、その後、症例登録は順調に進捗しております。2024年度は医療機関との更なる連携を進め、年度内の目標症例数の登録完了をめざしてまいります」と。
なお、バソミューン社がNatureのサイトで広告記事を掲載しAV-001の取り組みを報告しているので、その一部を紹介します。
「バソミューン社の新薬開発の臨床試験開始申請を可能としたその多くは、米国国防総省によって支援されました。成功した第1相臨床試験はカナダ国立研究評議会産業研究支援プログラムによって支援され、前期第2相臨床試験は病原体誘発の急性呼吸窮迫症候群の患者を対象としたもので、米国国防総省によって支援されました。バソミューン社は、2024年末までに、この第2相臨床試験を完了する予定です」と。