●アンジェス(株):2023/08/21 08:52
アンジェスと、カナダのバソミューン社が共同開発してきた「AV-001」は、もともと急性呼吸窮迫症候群の治療薬として開発してきたものですが、FDAから臨床試験開始許可を得た2020年11月の時期は、新型コロナウイルス感染症が世界的な大流行となっていた時期で、新型コロナウイルス感染症による重度の感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると判断され、第1相臨床試験が開始されました。2022年1月からは安全性、忍容性、有効性を調べることを目的にAV-001の前期第Ⅱ相臨床試験が米国で取り組まれてきました。
前期第Ⅱ相臨床試験の一次完成の時期は、当初は2022年5月となっていたものですが、米国での新型コロナウイルス感染症の感染者が急減したこともあり、臨床試験の完成時期を延期した経過があります。ですので、コロナウイルスの変異株による呼吸不全を起こす肺炎患者数も減少傾向にあったことから、バソミューン社では、臨床試験の対象疾患については「インフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群 に広げる」申請を米国FDAに行い、2022年12月に承認を受けています。
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は外傷や肺炎、輸血などさまざまな原因で起こる重症の呼吸不全ですが、根本的な治療法はなく有効な治療薬の開発が望まれています。2023年3月に発表された「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」の中での報告によると、米国での急性呼吸窮迫症候群の患者数は26万人いるとのことです。
5月10日に発表された2023年12月期第1四半期決算短信の中では、「AV-001の前期第Ⅱ相臨床試験の目標症例数の登録を目指してまいります」と報告されているので、出来るだけ早い機会に目標症例数120例の患者登録を終え、前期第Ⅱ相臨床試験の治験結果の発表を望みたいと思います。
なお、8月9日に発表された「営業外収益及び営業外費用並びに特別損失の計上に関するお知らせ」のIRで、アンジェスと共同開発契約を締結しているカナダのバソミューン社が 急性呼吸窮迫症候群を対象とした「AV-001」の継続的な開発のため、カナダ政府及び米国国防総省より補助金を獲得し、当社開発費用の分担に応じて受領した補助金を補助金収入として7425万6000円を計上したことが報告されています。