●アンジェス(株):2024/01/18 08:59
カナダのトロントに本社と研究所があるバソミューン社が開発しているTie2受容体アゴニスト(AV-001)は、急性呼吸窮迫症候群の治療薬として2018年より開発してきたものですが、新型コロナウイルス感染症が拡大し肺炎患者が増大したことから、中等度から重度の感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると判断し、2022年1月より米国で前期第Ⅱ相臨床試験として取り組んできた経過があります。
が、その取り組みが開始される直前の2021年12月頃から、コロナウイルスが変異株に代わったこともあり感染者数が減り、また、コロナ感染症による肺炎患者が急減したことから患者確保が難しくなり、バソミューン社では臨床試験の対象疾患を「インフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS) に広げる」申請を米国FDAに行い、2022年12月に承認を受け、現在もその取り組みを行っています。
治験の進捗状況ですが、米国国立公衆衛生研究所と米国医薬食品局が共同で治験及び臨床研究に関する情報を提供しているデータベースのClinicalTrials.govによる情報では、バソミューン社のAV-001の前期第Ⅱ相臨床試験の第一次完成は2024年12月に、そして前期第Ⅱ相臨床試験の研究の完了は2025年3月へと変更になっているように、当初予定より遅れています。
なお、バソミューン社とアンジェスが共同開発をしているTie2受容体アゴニスト(AV-001)について2023年11月15日に、米国における独立データ安全性モニタリング委員会(IDSMB)から現在実施中の第Ⅱ相臨床試験における安全性について肯定的評価を受けたことがアンジェスのIR情報として報告されています。
また、米国におけるコロナウイルス感染症状況ですが、これまでのパンデミックから、昨年5月にエンデミック宣言が行われていましたが、ここにきて米国内の新型コロナ感染者のおよそ半分が、WHOが深刻性が深まったとして「注目すべき変異株」に引き上げた「JN.1」に感染したことが明らかになっています。
こうしたこともありバソミューン社では、米国での治験への協力医療機関を増やすなど、AV-001の前期第Ⅱ相臨床試験が進む取り組みを進めています。