●アンジェス(株):2023/11/01 08:56
アンジェスがカナダのバソミューン社と共同開発してきたTie2受容体アゴニスト化合物(AV-001)は、2018年より全世界を対象に急性呼吸窮迫症候群の治療薬として開発してきたものですが、中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると判断し、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験を実施してきた経過があります。
しかし、前期第2相臨床試験に取り組んだ直後から米国では、新型コロナウイルス感染症の感染者が急減したこともあり、治験の対象としていた肺炎を発症する感染者が急減し患者の確保が難しかったことからバソミューン社では、臨床試験の対象疾患については「インフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS) に広げる」申請を米国FDAに行い、2022年12月にFDAから承認を受けています。
今年8月9日に発表された2023年12月期第2四半期決算短信では、バソミューン社と共同開発しているAV-001について「2023年度は、前期第Ⅱ相臨床試験の目標症例数の登録を目指してまいります」とされていましたが、治験及び臨床研究に関する情報を提供しているデータベースのClinicalTrials.govによる情報では、バソミューン社のAV-001の前期第Ⅱ相臨床試験の第一次完成は2024年12月に、そして前期第Ⅱ相臨床試験の研究の完了は2025年3月へと変更になっています。
AV-001の前期第Ⅱ相臨床試験の進捗状況が当初想定より遅れていることから、8月14日にアンジェスが関東財務局に提出した四半期報告書によると「南米での臨床試験の準備も進めてまいります」となっているので治験対象地域を広げて実施することが検討されているようです。
急性呼吸窮迫症候群は外傷や肺炎、輸血などさまざまな原因で起こる重症の呼吸不全ですが、根本的な治療法はなく有効な治療薬の開発が望まれています。
なお、アンジェスが2023年3月に発表した「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」ではAV-001の対象患者の方は米国で26万人ほどいることが報告されています。