●アンジェス(株):2023/12/06 09:36
イスラエルのマイバイオティクス社は、世界的に高い注目を集めている体内の微生物の生態系であるマイクロバイオーム(微生物叢)の研究において、次世代の医薬研究開発分野のパイオニアと言われている企業です。
アンジェスは、マイクロバイオームが次世代の医薬研究開発分野として世界的に高い注目を集めいることから、事業の可能性を探る目的もあり、この領域のパイオニアであるマイバイオティクス社と2018年7月に資本提携しています。
マイバイオティクス社は抗生物質治療後の再発性及び重症クロストリジウム・ディフィシル感染症の治験薬として「MBX-SD-202」を開発しています。クロストリジウム・ディフィシルは深刻な感染症を引き起こす腸内細菌で、抗生物質治療後の再発率は25%を超え、米国だけで年間約30,000人が死亡しています。
重症クロストリジウム・ディフィシル感染症への治療法としては健常な提供者から採取した糞便を移植する糞便微生物移植(FMT)が行われており、その有効性について多くの研究がなされております。しかし、FMTには、高コストや提供者への依存、製品の不均一性、潜在的な安全性の懸念など、いくつかの課題があります。
これに対してマイバイオティクス社では、これまでの常識を覆す独自のスーパードナー・テクノロジーを開発しています。この技術は、元のサンプルとの微生物集団としての高い類似性を維持しながら、安全でよく制御されたスケールアップ可能な培養方法で、提供された糞便サンプルなどの生物学的サンプルに由来する複雑な生きた微生物集団の複製と生産を可能にする方法です。
マイバイオティクス社は、MBX-SD-202の開発に関わる第Ⅰ相臨床試験をイスラエルで実施し、2022年1月に治験の完了報告をしています。その結果、重篤な有害事象は報告されず、3つの試験用量すべてにおいて安全性が確認できたことで、臨床開発の次の段階への移行が可能となっています。
次のステップの取り組みは米国で実施することが確認されているので、現在は前期第2相臨床試験の開始に向けFDAと協議を行っているとのことです。2024年の前半の時期には、臨床入りの承認が出ることを期待したいと思います。