●アンジェス(株):2023/10/31 08:40
ゲノム編集技術が2012年に、これまでより短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できる技術であるCRISPRキャスナインがエマニュエル・シャルパンティエ教授とジェニファー・ダウドナ教授の2名の女性科学者によって開発され、2020にノーベル化学賞を受賞したことを契機に、ゲノム編集による人への治療法の確立が本格化し、世界では幾つかの人への臨床試験が開始されるようになっています。
現在、ゲノム編集技術を駆使し、人への治療法の確立のために臨床試験にチャレンジしている企業では、CRISPRキャスナインを含むこれまでの技術では、狙った遺伝子と違うところを切断してしまうオフターゲット効果を回避・低減する技術開発に取り組んで来ましたが、エメンド社でもオフターゲット効果を回避するために、新たな特徴をもった新規のOMNIヌクレアーゼを数多く作出し、特許を出願しております。
そして様々な遺伝子疾患について、その疾患と遺伝子変異の分子機構の理解に基づき、疾患に応じてゲノム編集戦略を構築し、OMNIヌクレアーゼの中から適切なヌクレアーゼを選択し、それをさらに標的配列に対して最適化するOMNIプラットホーム技術を確立できるようになっています。これにより、これまでゲノム編集では対象とできなかった疾患を含め、様々な疾患に対する安全で有効な治療の開発を進めることが可能となり、エメンド社ではゲノム編集の安全な医療応用を目指し、血液、眼科、肝代謝などの疾患領域についても、パイプラインを構築する取り組みを進めています。
なかでも、好中球エラスターゼ遺伝子の異常によるELANE関連重症先天性好中球減少症では、対立遺伝子配列の一方のみの変異により発症するため、その治療は、ほとんど同じ配列をもつ対立遺伝子のうち、変異のある遺伝子のみを破壊するという非常に精度の高いゲノム編集が必要となります。
このようにアレル特異的遺伝子編集が可能となる技術を確立することで今後、様々な遺伝性疾患への安全な対応の取り組みが可能となってきます。
プリ・ガリアン賞USA賞の最優秀スタートアップ賞は受賞は出来ませんでしたが、今後のエメンド社の活躍に期待したいと思います。