●アンジェス(株):2023/11/11 09:03
山田社長は2023年の年頭の辞で、エメンド社の取り組みについて「ゲノム編集は、米国を中心に開発競争が激しくなっており、ヘルスケアの領域での実用化が大いに期待されています。このような世界的な開発競争に挑んでいくのは当社グループにとってとても大きなチャレンジになりますが、この荒波を乗り越えてこそ遺伝子治療のグローバルリーダーとしての地位を築き上げることができると確信します。」と語っています。
11月8日に発表された2023年12月期第3四半期決算短信では、エメンド社の取り組みが報告されていますが、紹介しておきます。
■ゲノム編集技術による遺伝子治療用製品開発
エメンド社では、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼを探索・最適化するOMNIプラットフォーム技術を確立しており、ゲノム編集でしばしば問題視されるオフターゲット効果を回避できるなど、新たな特徴をもったOMNI ヌクレアーゼを数多く作出し、特許を出願しております。
同時にエメンド社では、様々な遺伝子疾患について、その疾患と遺伝子変異の分子機構の理解に基づき、疾患に応じてゲノム編集戦略を構築し、数多くのOMNIヌクレアーゼの中から適切なヌクレアーゼを選択し、それをさらに標的配列に対して最適化して、これまでゲノム編集では対象とできなかった疾患を含め、様々な疾患に対する安全で有効な治療の開発を進めております。
なかでも、ELANE関連重症先天性好中球減少症では、対立遺伝子配列の一方のみの変異により発症するため、その治療は、ほとんど同じ配列をもつ対立遺伝子のうち、変異のある遺伝子のみを破壊するという非常に精度の高いゲノム編集が必要となります。
エメンド社では、ELANE関連重症先天性好中球減少症を対象とするゲノム編集治療について、2023年度中に米国での臨床試験開始に向け、FDAと協議を継続しています。また、家族性高コレステロール血症(FH)を対象とするゲノム編集治療についても臨床試験に向けた研究開発を継続しております。
なお、今般のイスラエルとパレスチナにおける紛争の影響次第で、エメンド社のイスラエルにある研究施設における研究開発の進捗への影響が懸念されます。