●アンジェス(株):2023/07/20 08:56
2021年4月に川崎生命科学・環境研究センターに開設された衛生検査所は、翌年2月に「アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)」と名称が変更され、自治体が公費で実施しているマススクリーニング検査(20疾患を対象)以外の希少遺伝性疾患について、「⼀般社団法人:希少疾患の医療と研究を推進する会」が提供する有償の拡大新生児スクリーニング検査を受託しています。
有償の拡大新生児スクリーニング検査は、生後間もない乳児から採血して希少遺伝性疾患の有無の可能性を調べ、発症前の早期段階から治療を始めることで、症状の進行を抑える効果が期待されていいます。「希少疾患の医療と研究を推進する会」では、一部の医療機関と連携して普及啓蒙活動に取り組んでおり、現在検査可能な疾患は、ムコ多糖症(I型、II型、IVA型、VI型)、ポンペ病、ファブリー病(男子のみ)、副腎白質ジストロフィー(男子のみ)、脊髄性筋萎縮症、重症複合免疫不全症の9種類となっています。
山田社長は、第24期定時株主総会終了後の会社説明会で、アンジェスクリニカルリサーチラボラトリーの取り組み状況について、次のように話しています。
「ACRLは現在、首都圏の新生児の遺伝性疾患の有無を調べる有償検査を実施しております。2021年4月に開始してから、わずか1年半の経過ですが、現在は1年間で1万件の検査を受託するところまできました。ACRLは、他の検査所では検査できない疾患も検査項目に含まれているため、各地の自治体や企業から、検査の委託先として問い合わせを戴いております」と。
「希少疾患の医療と研究を推進する会」の資料によれば、有償の拡大新生児スクリーニング検査はACRLの1万件を含めて、約1万8000件の検査のうち要検査判定が出たのは26件で、その後の精密検査で5件が確定診断されています。
なお、早老症治療薬ゾキンヴィについては、2023年3月28日に厚生労働省により希少疾病医薬品(オーファン・ドラッグ)に指定されましたが、5月12日にゾキンヴィの製造販売承認申請を行っています。拡大新生児スクリーニング検査は、治療法があることが前提となっていますが、ゾキンヴィの国内販売が承認されれば、その対象疾患である早老症も有償検査の対象になり、検査及び治療が早期に実施されることになります。