●アンジェス(株):2023/04/27 09:45
川崎生命科学・環境研究センターに開設された旧衛生検査所は、2022年2月にアンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)と名称変更され、自治体が主体となって実施しているマス・スクリーニングの検査対象以外の希少遺伝性疾患検査を主な目的とし、「⼀般社団法人希少疾患の医療と研究を推進する会」が提供する有償検査オプショナルスクリーニングの検査業務を受託しています。
オプショナルスクリーニング検査の対象疾患は「治療法があること」が前提になっていますが、現在はムコ多糖症I型、II型、IVA型、VI型、ファブリー病(男児のみ)、ポンペ病、副腎白質ジストロフィー(男児のみ)、脊髄性筋萎縮症、重症複合免疫不全症の疾患についてスクリーニング検査をが提供されています。
2022年5月にアンジェスは、米バイオ医薬品企業のアイガー社と希少遺伝性疾患で早老症といわれているハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロジェロイド・ラミノパチー(PL)を適応症とした治療薬「ゾキンヴィ」について、日本における独占販売契約を締結していますが、2023年3月に研究開発費用の助成金が交付されるほか、優先審査を受けることが可能となる希少疾病用医薬品のオーファン・ドラッグ指定を厚生労働省から受けることが出来ました。これを機に早期の薬事承認を得るための取り組みを進めて行くと思います。
山田社長はアイガー社との締結に当たって「 日本においては有効な治療薬がないHGPS患者さん、PL患者さんに一日も早く本剤をお届けできるよう、薬事承認を目指しながら、並行してアンジェスクリニカルリサーチラボラトリーにおいて、治療薬が存在する遺伝性疾患患者発見のための診断検査を拡充する一環として、プロジェリア症候群の検査を実施する準備を進めて参ります」と語っています。
こうした取り組みにより、アンジェスはACRLと連携をしながら、医薬品の研究開発事業と検査事業を有機的に結び付けてシナジー効果を追求していくものと思います。
2022年12月期決算短信では、アンジェスクリニカルリサーチラボラトリーでの手数料収入として5500万円を計上していますが、これまでは首都圏を対象とした受託から、今後は対象地域の拡大並びに民間の検査会社などからの受託を目指した活動を進めて行くとのことです。