●アンジェス(株):2023/06/12 09:04
エメンド社では、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、ゲノム編集で使用するDNA切断酵素の新規CRISPRヌクレアーゼを最適化するOMNIプラットフォーム技術を確立しています。エメンド社では、目的とする塩基配列以外の箇所を切断し、そのため意図せぬ突然変異を引き起こしてしまう「オフターゲット効果」を回避できる新規のヌクレアーゼを数多く作り出し、特許を出願しています。そうしたゲノム編集技術の開発の上に立ってエメンド社では、最も研究が進んでいるELANE関連重症先天性好中球減少症についての臨床入りに向けた準備が進められています。
ELANEは好中球エラスターゼ遺伝子の呼び名ですが、好中球は、通常は体の中で造血幹細胞から絶えず分化・成熟していくと言われています。しかし、ELANE遺伝子に異常があると、好中球に分化しようとする細胞でこの遺伝子が働き始めた時に、異常なタンパク質が作られることによって好中球が成熟できなくなり、その結果、好中球数が減少します。好中球は細菌感染に対して体を守るという大切な役割を担っているので、好中球が少なくなると、感染制御ができず、感染を繰り返したり、感染症で死亡することもあります。
ELANE関連重症先天性好中球減少症の治療では異常のある遺伝子を削除することが必要なのですが、この時、正常な遺伝子を傷つけないようにしなければなりません。このためには、両親から受継いだ2つの遺伝子間のたった1ヶ所の違いを識別し、正常な遺伝子を傷つけずに異常な遺伝子のみを編集できる精度が必要です。
このような高精度なゲノム編集技術は、ゲノム編集治療を安全に行うために必須な技術であり、エメンド社では、このような高精度なゲノム編集技術を開発し、あらゆるゲノム編集治療に用いることを目指しており、手始めに、ELANE関連重症先天性好中球減少症の治療に関して臨床試験に向けた準備を進めています。
アメリカ食品医薬品局(FDA)への臨床入りの申請については、2023年第3四半期の時期に予定となっていますが、申請以降FDAとの協議期間もあり、臨床試験が開始されるのは2023年度中と想定していることが、5月10日に発表された2023年12月期第1四半期決算短信で報告されています。