●アンジェス(株):2022/11/22 08:44
エメンド社を持分法適応子会社化することを取締役会で決議したのは2019年11月です。その会社説明会で山田社長は、「病気の遺伝子から正常な遺伝子へ取り換えることで治療が可能となるゲノム編集は、究極の遺伝子治療であると考えております。ゲノム編集に関しては医療分野ではまだ実用化はされておりません。私たちはこのゲノム編集分野で世界のトップを狙うために、エメンド社に資本参加しました」と。
エメンド社を選択した理由については、「ゲノム編集の最新技術は『クリスパーキャス9』と呼ばれるものですが、まだ実用化に至っていない懸念材料として、オフターゲット効果があげられます。オフターゲット効果とは、狙った場所以外を間違って切断してしまうことですが、これを低減する技術を開発したのがエメンド社です。エメンド社のCEOのデビッド・バラム氏は、世界的にも有名なイスラエルのワイツマン研究所の出身の優秀な科学者であり、2009年ノーベル化学賞を受賞したエイダ・ヨナス氏に師事していた人物でもあります。現時点ではまだ具体的なことは申し上げられませんが、私たちは彼らの技術が、クリスパーキャス9を超える究極のゲノム編集テクノロジーだと期待しています」と語っています。
そして、説明会への参加者から「エメンド社から上場するような意向を聞いているのか?」という質問に対して山田社長は「それも考慮して出資をしているので、それは非常に大事な要因だと思っています。エメンド社がどのタイミングで上場するかはわかりませんが、その時点で当然のことながら、他社の例を見ますとかなり高い時価総額になっているので、そのレベルになってしまうと手の届くところではないので難しいかなと思っております」と語っています。
そこで、山田社長は参考までにということで、「クリスパーキャス9でゲノム編集に取り組んでいる米国の上場会社で『インテリアセラピューティクス』の時価総額は1534億円、『エディタスメディシン』は1943億円、『CRISPRセラピューティクス』は3101憶円となっています。エメンド社はそれらを上回る技術等を有することから、それ以上の企業価値があると期待しています」と語っています。
このように見ると、エメンド社を完全子会社化した山田社長の「先見の明」も、理解できると思います。