●アンジェス(株):2022/09/26 08:47
新型コロナワクチンの第1/2相臨床試験及び第2/3相臨床試験結果が発表されたのは2021年11月です。したがって、2021年7月に、医薬品医療機器総合機構と協議の上に、免疫原性をより高めるための高用量治験の必要性が予告され、2021年8月から投与開始となった判断は、おそらくWHOが推奨する海外の治験分析機関の速報データに基づいて判断されたものと思います。
高用量治験は、これまでの筋肉内接種に加えて、大阪大学で2020年11月より医師主導で取り組まれた皮内接種も取り入れられた高用量治験であっただけに、成功することの期待感があったのですが、海外の治験分析機関の速報データに基づいて発表された、9月7日の高用量の治験結果は
「安全性については確認されております。しかしながら、高用量製剤は当初開発した初期のワクチンよりも免疫原性は増強したものの、筋肉内接種群と皮内接種群いずれにおいても、主要評価項目である、12 週後の SARS-CoV-2 のシュードウイルスに対する中和活性及び 12 週後の SARS-CoV-2 スパイク(S)糖タンパク質特異的抗体価が期待する水準には至りませんでした。」
というものでした。これによりアンジェスとしては、新型コロナワクチン(武漢型)に対する高用量製剤を含む初期のワクチンの開発を中止し、これまで研究開発にあたってきた大阪大学を含めて、ワクチン開発に参画して戴いた13社との共同開発も解消するに至る、極めて残念な結果となったのです。
確かに、武漢型初期ワクチンの開発を中止したとしても、オミクロン型に対応したDNAワクチンの研究開発に注力する選択肢はあるのですが、その場合は親ワクチンの承認がない中での取り組みとなり初めからのやり直しとなるので、その研究開発を含めて国からの支援を継続してもらうには難しさがあったと思います。
それはアクトランザ・ラボを活用してもなお、海外の先行ワクチンと比較すると有効性に劣る問題があり、それをクリアするには幾つかの研究課題が残されているのです。その見通しが立つまでは自力による研究が必要であることから、一つの区切りをつけて共同開発の解消を決断したものと思います。
起こり得る感染症のパンデミックに対して、WHOが採択した「DNAの品質、安全性、有効性を保証するためのガイドライン」に基づく研究開発は必要です。