●アンジェス記事ストック:2022/08/20 20:21
<2022年12月期第2四半期決算説明会での山田社長によるビデオ説明の内容>
◆ゲノム編集:エメンド社の開発状況(その1)
説明会の最後に、当社の子会社であるエメンド社のゲノム編集技術の開発状況について説明を致します。遺伝子治療の分野ではプラスミドやウイルスベクターの手法を用いた遺伝子治療用製品は既に上市されていますが、遺伝子治療の次のステージはゲノム編集技術にあると考えています。
ゲノム編集技術による特定の遺伝子の機能を失わせたり、疾患の原因となっている遺伝子の異常を修正したりする方法が研究されています。ゲノム編集は1990年代中頃から研究が始まりましたが、いくつもの課題がありました。2012年には、より短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できる技術であるCRISPRキャスナインが登場してまいりました。このCRISPRキャスナインの開発者であるエマニュエル・シャルパンティエ教授とジェニファー・ダウドナ教授は、2020年にノーベル化学賞を受賞しており、ゲノム編集の人への適応が待ち望まれております。
しかし、CRISPRキャスナインを含むこれまでの技術では、狙った遺伝子を切ってしまうオフターゲット効果が問題となっています。オフターゲット効果とは、標的としている遺伝子配列と似た配列を持つターゲットではない部分の遺伝子を切断していまうことです。そのため、オフターゲット効果を低減する技術開発が求められています。
一般的にはゲノム内に標的配列に準じた配列がないか検索し、類似した配列を避け、標的配列を捜すことによってオフターゲット効果を回避する方策がとられますが、エメンド社ではこれに加えてヌクレアーゼを改良することによって、オフターゲット効果の回避を目指しています。
エメンド社ではオフターゲット効果を回避するために、より精度が高く誘導された特定の場所を切り取り、新たなゲノム編集用ヌクレアーゼの探査技術を独自に確立いたしました。エメンド社では、この新たな探査技術をオムニプラットホーム技術と名付け、この技術によって作出されるヌクレアーゼをオムニヌクレアーゼと呼んでいます。