●アンジェス(株):2022/06/24 08:16
アンジェスは、米国カルフォルニア州に本社があるアイガー社と、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロジェロイド・ラミノパチーの適応症(PL)の治療薬であるゾキンヴィについて、日本における独占販売契約を締結し、契約一時金及び開発進捗に応じたマイルストーンの総額として最大150万米ドルを支払うことを決定しています。その決定に基づいて半額の相当する75万ド(円換算で約1億円)を今月6月30日に支払うことになっています。
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロジェロイド・ラミノパチー(PL)は、それぞれが希少な致死性の遺伝的早老症で、若い患者の死亡率が加速度的に上昇する難病です。患者数は、HGPSが世界で400 人、PLが200人と推定されています。HGPS は、LMNA遺伝子の点突然変異により、ファルネシル化された異常タンパク質であるプロジェリンが生成されることで発症すると言われています。PLは、LMNAやZMPSTE24遺伝子の変異により、プロジェリンとは異なるファルネシル化タンパク質を生成し、老化を促進する遺伝的疾患です。
アンジェスの山田社長はアイガー社との提携にあたって、「日本においては有効な治療薬がないHGPS患者さん、PL患者さんに一日も早く本剤をお届けできるよう、速やかな薬事承認を目指す」と語っています。今回、日本における独占販売契約を締結したゾキンヴィについては、HGPSの死亡リスク低減、プロセシング不全性早老性PLの治療薬として2020年11月に米国で承認されているので、日本における承認は特例承認の対象となると思います。
そうすれば、昨年から新生児の希少遺伝性疾患検査事業を開始したアンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)において、治療薬が存在する遺伝性疾患患者発見のための診断検査を拡充する一環として、プロジェリア症候群の検査を実施する体制が確立できることになります。
エメンド社のゲノム編集技術による希少遺伝性疾患の治療方針の確立や創薬への研究も、ACRL事業等と連携しながら、今後一層発展するのではと期待してます。
今後、アンジェスは希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査・治療が実施できる体制構築を築き上げていくと思います。