●アンジェス(株):2022/02/25 09:32
NATOの根幹は集団安全保障を定めた北大西洋条約の第5条にある。締約国に対する武力攻撃を「全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する」と定めている。
だが、ウクライナはNATO加盟国ではない。したがって、ロシアによるウクライナ侵攻に現段階で米欧は武力では反撃していない。バイデン米大統領は情勢緊迫下でもウクライナに派兵はしないと繰り返してきた。そこを読みっ切ったプーチンは、国際社会の反対を押し切ってウクライナに軍事進攻に踏みっ切った。
目的は、ウクライナのゼレンスキー政権の転覆とかいらい政権の樹立である。そのために24日のプーチンによる国民向けテレビ演説では「我々の計画にはウクライナの占領は入っていない」としつつ、ゼレンスキー政権をヒトラーのナチス・ドイツになぞらえ、政権転覆と親ロ派国家への改造という目標を設定した。
しかし、こうした都合の良い理屈が国際社会から受け入れられるとは思えないし、ウクライナ国民に湧き上がる愛国心と反ロシア感情と闘う士気をやすやすと力でねじ伏せることは可能なのだろうか。
中長期的には、プーチンのシナリオは簡単に実現できるとは思えないし、むしろ諸刃の剣となって自らの政権基盤を揺るがすことになりうる。
ロシアが一線を越えた以上、日本には北方領土問題の解決があるにしても、ウロチョロせず、いまは米欧と結束して、ロシアの暴挙を許さない姿勢を示していくことが、国益にかなう道だと思う。