●アンジェス(株):2021/08/27 20:56
昨年3月、アンジェスが新型コロナワクチン開発に着手した当初は、パンデミックに対応する第一世代ワクチンとして、2021年春の実用化を目指して開発にあたってきたが様々な理由から実現にいたらず、ファイザー社やモデルナ社のワクチンに席を譲る結果となりました。
しかしながらアンジェスの開発する新型コロナワクチンは、時間との闘いとなる第一世代ワクチンだけではなく、開発に着手する当初から次世代ワクチンの開発を念頭に置いて準備をしてきました。その一つが、以前から大阪大学と無針デバイスを共同開発してきたダイセル社が、2020年3月13日にチームアンジェスに参画していることです。これは当時のIRでも紹介されていますが、ワクチン投与の際、無針デバイス「アクトランザ」を使用することにより、遺伝子発現効率を上げることでDNAワクチンの抗体産生力を上げることが可能となり、より有効性の高いワクチンの開発が可能となります。
無針デバイスによる皮内投与は高用量による追加の治験でも取り組みが行われていますが、治験結果で抗体陽転率及び有効性が先行している海外ワクチンと比較しても遜色のない結果が出れば、ICMRAでもワクチンの国際承認基準として新たに認められている「非劣性試験」もクリアができ、チームアンジェスの新型コロナDNAワクチンが国内のみならず、国際貢献の一環として必要とする国々にも供与することが可能となるのです。
なお、無針デバイスを活用する皮内投与以外にも、アンジェスは新型コロナ次世代ワクチンとしてDNAペプチド併用ワクチンの開発を念頭に、2020年4月8日にはチームアンジェスにファンペップ社が参画しています。
その上で重要なことは、山田社長が言うように、現在実施している高用量ワクチンがワクチンの製品化に一番近いものだと位置づけて治験に取り組んでいるので、皮内投与を含めた高用量の治験を成功させ、これまで開発してきたワクチンの承認を実現することです。デルタ株を含めた変異株に対応するワクチン開発や次世代ワクチンの本格的な取り組みは、これまで取り組んできたワクチンの承認の上に可能となるのです。