●アンジェス(株):2021/07/29 11:59
昨年9月に実施された大阪大学医学部附属病院での第1/2相臨床試験の治験結果については、6月3日~4日に日本医療研究開発機構(AMED)が開催した「ワクチン開発について」と題する報告会で、森下教授が報告しています。
それによると、AG0302の中和抗体陽転率は、2mg・4週間隔・2回投与で60%、2mg・2週間隔・3回投与では70%と報告されています。接種量と抗体陽転率は一定の影響があることは事実で、そのためにワクチンの適量を測ることも治験の目的の一つになっています。
ところが、アンジェスの500名規模で行われた第2/3相臨床試験では、大阪大学医学部附属病院で実施された2mg・2週間隔・3回投与では70%の抗体陽転率示した治験ケースは取り入れられず、2mg・4週間隔・2回投与で60%のケースを採用しています。これについては広報ブログで「なぜ、高投与量から試験を始めなかったのでしょうか?」との問いに、山田社長は
「ワクチンは健常者に接種するものですので、安全性が大変重要だと思っております。できるだけ投与量が少ないことで、身体への負担も少なくなります。そのために、初めは少ない投与量から進めました」と答えています。
同時に、「投与量を増やしたワクチンを開発する理由は何ですか?」との問いに山田社長は「現在臨床試験を行っているワクチンよりもさらに免疫応答を上げ、予防効果を上げるためです。我々が第2/3相臨床試験を行っている間に、ファイザー社、モデルナ社のワクチンが承認されました。これらのワクチンの予防効果は、これまでの前例にない大変高い予防効果の数値を出しており、これにできるだけ照準を合わせた予防効果が高いワクチンを開発する必要があり、高投与量でさらに臨床試験を進めるということになります。」と治験の必要性を語っています。
7月26日にIRで発表された「高用量製剤での接種量を増やした臨床試験」については、有効性としての免疫原性をより高めるための取り組みであり、同時に、無針デバイスによる皮内注射の効果も併せて測定するもので、ぜひ成功させ、厚生労働省が過日発表した、最終段階の大規模な臨床試験にに代わる抗体量(中和抗体価)などを既存ワクチンと比較して有効性や安全性を評価する非劣性試験にチャレンジして貰いたいと思います。