●アンジェス(株):2021/06/11 04:01
【医薬通信社】
新型コロナワクチンP1/2試験で国産初の免疫原性確認!!
森下竜一氏 (大阪大学大学院教授)に聞く(その3)
<アストラゼネカ製ワクチンと同等の有効率期待>
PMDAがワクチン承認条件の一つとして定めている大阪大学P1/2試験におけるAG0302の中和抗体陽転率は、2mg・4週間隔・2回投与で60%、2mg・2週間隔・3回投与で70%で、国産ワクチンで初の免疫原性が確認された。
中和抗体同陽転率に加え、森下氏は、「細胞性免疫で2倍以上活性化している。国内で承認されているアストラゼネカ製のワクチン(中和抗体陽転率70%)と同等の有効率が期待できるのではないか」との考えを示す。
また、過去の新型コロナウイルス感染から回復した人のデータをみると、細胞性免疫に関しては、重症症例では中和抗体を100%産出しているが、軽症や無症状では中和抗体が産出されていない人も多くいる。
だが、中和抗体が産出されていなくても感染後の細胞性免疫は獲得しており、「今回の我々のデータは、回復患者における血清の状態と類似しているので、AG0302には、十分に感染予防、発症予防効果があると考えられる」と期待を寄せる。
過去の新型コロナウイルス感染から回復した人のデータでは、T細胞のウイルスへの反応が急速に上昇している。このT細胞による細胞性免疫が、感染予防に重要であることも判明している。従って、AG0302の細胞性免疫を誘導する特徴は、非常に望ましいと考えられる。
<AG0302ワクチン、イギリス株、ブラジル株の変異株にも効果>
一方、変異株については、ファイザーやモデルナのmRNAワクチン投与後の患者血清をみたデータでは、イギリス株には効果があるものの、中和活性はブラジル株で低下を示し、南アフリカ株では半分以下に落ちている。
今後、ファイザーやモデルナのワクチン投与が進んでいく中、これらのワクチンの効果を減弱する変異株の出現が増加する可能性が高いと予測される。
INO4800DNAワクチン(イノビオ)の報告では、中和活性は南アフリカ株では低下するものの、ブラジル株に対してはかなり高く、それぞれのワクチンのモダリティや設計によって変異株に対する有効性が異なる可能性がある。