●アンジェス(株):2020/08/31 04:34
【個人メモ】
新型コロナウイルス感染症対策の今後について(その2)
厚生労働副大臣:橋本 岳
2.ワクチンの有効性と安全性、接種の判断について
新たに開発されるワクチンの効果に関しては、臨床試験(治験)等で評価を行います。したがってその結果が判明するまでは確たることは言えません。また臨床試験等で評価できるのは、発症者を減少される「発症予防」と、重症患者(死亡・入院などを含む)を減少させる「重症化予防」の二つの効果です。これらは治験において、接種者と非接種者の経過を比較することで、効果を測定することができます。一方、接触した人の感染を防ぐ「感染予防」の効果については、もともと実証しにくいところ、そもそも感染しても発症しない人が多いこのウイルスに関しては、効果があるともないとも判断が困難であり、実証はほぼ不可能と思われます。
先行する4つのワクチンの論文では、まだ症例数が少ないため確定的なことは言えませんが、有効性については、一定の液性免疫(抗体)、細胞性免疫が誘導されていることは示されています。しかし誘導された免疫による発症予防効果や重症化予防効果の有無、免疫の持続期間についてはまだ評価されていません。また安全性については、接種後の局所部位反応の出現頻度が高いこと、重篤でない全身性の有害事象(倦怠感、不快感、筋肉痛、頭痛等)が高頻度(数十%以上)で発現することが報告されています。なおいずれも小児・妊婦・高齢者のデータが少なく、不明な点が多いです。
一般的に、ワクチンの接種後には副反応が生じることはあり、これをなくすことは困難です。副反応には、比較的軽度だが頻度が高い副反応や、重篤だが極めてまれな副反応など、さまざまなものが含まれます。したがって、ワクチンの接種により得られる利益(有効性)と副反応などのリスク(安全性)の比較衡量により、接種の是非を判断する必要があります。同じワクチンであっても、重症化や死亡リスクが高い人は、副反応リスクが多少あっても接種することが望ましいという判断が可能ですし、重症化や死亡リスクが極めて低ければ、接種しない方が望ましい場合もあります。
したがってワクチンの接種にあたっては、ワクチンの特性に加え、接種対象者の年齢や医学的背景などを踏まえた新型コロナウイルス感染によるリスクを勘案し、総合的に判断することが必要でしょう。