●アンジェス(株):2021/03/06 04:14
【医薬通信社】
アンジェスの新型コロナワクチンP1/2試験で好結果
森下竜一氏 (臨床遺伝子治療学寄附講座教授)に聞く(その2)
森下氏らのDNAワクチンも、ファイザーやアストラゼネカのコロナワクチンと同じく武漢型のウイルス遺伝子情報を基に作成されたものであるが、これらのワクチン同様にDNAワクチンも現在日本で流行の中心となっているヨーロッパ型の新型コロナウイルスを用いたハムスターの実験でその感染予防効果が実証されている。
動物実験結果とあわせ、P1/2試験でヒトにおいても免疫原性の上昇、S(スパイク)タンパクに対する抗体の増加が確認できていることから、他の新型コロナワクチンのように、「発症予防」と「重症化予防」効果を発揮すると考えられる。従って、森下氏は、「現在進行しているP2/3試験の結果への期待は大きい」と訴求する。
安全性に関しては、まだ、P2/3試験が進行中であるが、「他のワクチンに比べて副反応が少ないというP1/2試験で示された特徴が、現在進行中のP2/3試験でも再現されつつあり、今後さらなるエビデンスを集めて行く」と説明する。
また、新型コロナDNAワクチンの有効性を増し、投与量を減らすことを目的に開発されたダイセルの“針無し注射器”を用いた皮内投与の臨床試験も、大阪大学で医師主導治験として行われた。この新規デバイスは、ジェット流で圧力をかけて針を使わず薬液を皮内組織に送り込むもので、動物実験結果で、複数のモデル動物において新型コロナウイルス感染予防が確認されている。
森下氏は、「臨床試験においても、新規投与デバイスを使用して遺伝子発現効率および抗体産生力が向上すれば、筋肉内投与よりも少ない投与量での新型コロナDNAワクチンの効果が期待できる」と話す。
DNAワクチンの皮膚内投与のメリットは、無痛だけではなく、高齢者や乳幼児に対しても容易に使用できることに加えて、投与量の減少により、ワクチンの対象人数を増やせる可能性がある。
新型コロナDNAワクチン開発動向については、「今後、P2/3試験の結果をみて、年内にも日本を含む東南アジアの国を中心に3~4万人の大規模臨床試験を行い、発症予防や重症化予防のエビデンスを出していく」方針だ。