●アンジェス(株):2020/06/11 04:03
【BUSINESS:6月号】<キーマンに聞く!>(その2)
「アンジェス」創業者の大阪大学大学院教授:森下竜一氏
Q:先端テクノロジーのDNAワクチンは理論的には可能だが、実用化された例はありません。
【森下】 従来のSARSやエボラ出血熱など、大規模な実用化試験を行う前に収束したため、試験自体が行われていないためです。感染制御に十分な抗体ができるか、臨床治験の結果を見ないとわかりませんが、アジュバント(補助剤)の改良など第2世代のDNAワクチンにも着手しており、二の矢、三の矢で有効性を改良していく予定です。
Q:我が国は「国産ワクチン」は、国家の危機管理という認識が不足して
いませんか。
【森下】 米国ではワクチン製造に軍が多額の予算を出し、バイオテロ対策を重視しています。我が国も国防上の観点から国産ワクチンを位置付けるべきです。
Q:政府は「国産ワクチン」支援の倍以上の資金を、海外のワクチン開発に投じています。
【森下】 コロナ禍で死者が続出する各国が個別防衛に走るのは当然です。米欧でワクチン開発に成功しても日本に供給される保証はない。自前のワクチン製造は絶対に必要であり、国家予算を国内支援に振り向けるべきです。またワクチンの効果が明らかになってから製造に乗り出すのでは遅すぎる。ビル・ゲイツが指摘するように、効果の有無にかかわらず必要なワクチン供給数を明確にして製造費用を保証する必要がある。政府の保証なくして、かかるリスクを負える民間はありませんから。
(聞き手/本誌発行人 宮嶋巌)