●アンジェス(株):2020/06/11 04:04
【BUSINESS:6月号】<キーマンに聞く!>(その1)
「アンジェス」創業者の大阪大学大学院教授:森下竜一氏
■「国産ワクチン」開発・製造は国の危機管理!!
Q:21世紀に入り未知のウイルスの来襲が多発しています。
【森下】 今世紀は「感染症災害の時代」と覚悟すべきです。特に異形の大国・中国が隣にある日本は危険です。インバウンドや物流チェーンの存在を含め、日本は常に、中国からの感染症リスクに晒されています。
今回の教訓を踏まえ、パンデミックに備える体制を作るべきです。一つは、未知のウイルスに対する迅速なワクチン製造体制の構築です。今、我々が取り組んでいるような「DNAワクチン(*)」の開発を促し、国内のみで迅速に製造できるサプライチェーンを築かなければなりません。二つ目は、防護服やN95マスクなど医療用資材の国内製造部門を維持し、緊急時の増産体制を確保すること。中国と近接しながら感染防御に成功した台湾の緊急時対応に学ぶべきです。
Q:ワクチン開発競争は、米中の覇権争いと化しています。
【森下】 世界で70ものワクチン開発が立ち上がり、鮮明になったことは「国産ワクチン」を持たない限り、パンデミックを防げないということです。国内備蓄だけでなく、未知のウイルスに備える自前のワクチン開発体制を整備する必要がある。私は新型コロナの国内蔓延を阻止する緊急対策としてDNAワクチンの開発と、これを用いた抗血清製剤の製造を提案しています。
Q:米中は治験を始めました。
【森下】 我々の大阪大学とアンジェスが共同で開発を進める「DNAワクチン」も動物実験が順調に進み、7月に小規模な人への試験を開始する予定です。9月には実用化に向けた数百人規模の臨床治験を用意しています。製造体制も既に年内に20万人分の製造を準備しており、実用化に向けたスケジュールの前倒しも計画しています。