●アンジェス(株):2020/05/30 04:08
森下竜一教授とジャーナリストの長谷川幸洋氏の対談からなる著書「日本はワクチン戦争に勝てるのか!?」からの抜粋(その1)
【長谷川】アメリカのワクチン開発の現状は
【森下】一番手はRNAワクチンのモデルナでしょうね。このワクチンは喩えて言うと「フェラーリ」みたいなものなのです。超高級品。価格はDNAワクチンの10倍で、生産量は100分の1くらい。超エリートなら打てるかもしれないけど、一般人にはとても手が届かない。
二番手が、われわれと同じDNAワクチンでイノビオという会社。実質完成が一番早いのではないかと言われています。イノビオはDNAワクチンの導入にエレクトロポレーションといって、人の体の表面に電気を通して、遺伝子を入れる方法をとっています。
【長谷川】先程ジョンソン&ジョンソンの開発の話が出てきましたが、もう一度詳しく聞かせてください。
【森下】ジョンソン&ジョンソンはアデノウィルスという風邪のウイルスに、先に説明したSたんぱく質の遺伝子情報を乗せて作ろうとしています。この方法では抗原のSたんぱく質がたくさん出来るので抗体産生には有利ですが、アデノウィルス事態に毒性があって、ずっと開発が行われてきた遺伝子治療でもまだ実用化されていません。加えて、アデノウィルス自体に対して体に抗体ができてしまう。
【長谷川】余計な抗体ができる、ということですか。
【森下】ですから、アデノウィルスは何回も投与できないことがわかっています。新型コロナウイルスのワクチン開発に成功したとしても、抗体価の持続が不十分で半年に1回、毎年投与が必要になると、2回目からは使用できないということになります。
【長谷川】副作用のほうが大きい、というのはそれですか。
【森下】副作用そのものは、アデノウィルスによるもので、熱発や倦怠感、肝機能障害などが報告されており、ほぼ全員の人に出るといわれています。