●アンジェス(株):2020/06/27 04:49
英製薬大手アストラゼネカの日本法人は今日の26日、英オックスフォード大と開発を進める新型コロナウイルスワクチンの日本への供給に向け、日本政府と協議を進めることで合意したと発表しました。
菅義偉官房長官は26日の記者会見で、協議の合意に関し「政府として国内に必要なワクチンの確保にしっかりと取り組んでいる」と強調しています。
だが、アストラゼネカと提携してワクチン開発進めているオックスフォード大学ジェンナー研究所のエイドリアン・ヒル所長は先月5月に「新型コロナが収束するまでの時間との闘いだ」とし、「われわれは今年先に、9月までに有効なワクチンを開発する確率は80%だと述べていたが、現時点では結果が全く得られない確率が50%だ」と語った経過があります。その点が、どのように進展したのかも知りたいところです。
またアデノウィルスワクチンとは、風邪のウイルスであるアデノウイルスを弱毒化して使用するワクチンのことですが、開発については中国でも大規模な臨床試験に入ったと報告されています。また、ジョンソン&ジョンソンやオクスフォード大学も開発しています。
このアデノウィルスワクチンは、遺伝子の発現量がDNAワクチンやRNAワクチンよりも多いことが知られており、抗体を作るという点では優れています。しかし、アデノウイルスでは以前に遺伝子治療で死亡例も出ており、毒性もかなり高いという問題点があります。また、新型コロナウイルスに対する抗体だけではなく、投与されたアデノウイルスに対する抗体も出来ることが知られており、2回や3回という複数投与した場合効果が出ない事がわかってきています。したがって、ワクチンの抗体が長続きしないと、2回目以降は使えないという特質があります。
日本政府は国産ワクチン開発の重要性を熟知しつつも、アンジェス:大阪大学連合のワクチンの進捗状況に遅れがあった場合を考慮していること、及びワクチン開発をめぐって国際協調の姿勢をアピールしておく思惑もあるのだと思います。
ただその場合でも、重要なことはアデノウィルスワクチンには新型コロナウイルスに対する抗体を作るという点ではDNAワクチンより優れているとしても、過去に死亡例をだしている毒性がどのようにクリアされているのかという問題があります。この点は明確にされるべきことだと思います。