●アンジェス(株):2020/04/15 06:24
森下竜一ドクター×斎藤糧三ドクター対談(その3)
【斎藤】ウイルスの変異も話題になっています。
【森下】新型コロナウイルスは、さまざまな形に変異するので注意が必要です。日本で当初感染拡大したのは、中国・武漢で流行したタイプですが、現在はヨーロッパ型、アメリカ型といわれるものが感染の主体となってきています。ただし、それぞれのタイプがどれほど危険なのかは、まだわかっていません。
【斎藤】ワクチンがウイルスの変異に対応できないのでは? といった危惧もあるようですが。
【森下】新型コロナウイルスを含むすべてのコロナウイルス(SARS、MERS)は、非常によく似た構造をしています。これまでのコロナウイルスとおなじく、COVID-19でもウイルス表面のスパイク(S)タンパク質という部分が、ウイルスの感染に重要なのはおなじです。COVID-19のSタンパク質は従来のコロナウイルスと比べても変異しておらず、Sタンパクを抗原(生物体内で抗体を形成・出現させる物質)として使えば、ワクチンが開発出来ないということはありません。
【斎藤】ワクチンが出来るまで、我々はどうすべきでしょうか?
【森下】医療崩壊を避けるべく、外出を控え、おとなしくすべきです。現状、PCR検査数が少ないので、感染者の実態をあらわしてない可能性が高いからです。ただし、死者は少ないので、ギリギリのところで感染拡大を抑えられていると思います。いずれにせよ、今後を予測することは極めて困難です。感染者のためのベッド数は、当初の想定を超えて、逼迫しています。大阪府は、すでにトリアージ(大事故・災害などで同時に多数の患者が出た時に、手当ての緊急度に従って優先順をつけること)を実施していますが、今後はそれが全国的に拡がる恐れもあると思います。